ある部屋の窓から見える情景をテーマにしたスクリーンセーバ。素朴で美しいグラフィックと豊かな3Dキャラクタが、町の風景や人々の生活をリアルタイムに描き出す。舞台は南欧にある、港と運河の町。対岸に見えるカフェ"Lapin"を中心とした町並みを、窓から眺めるという形になっている。パソコンの内蔵時計と連動しており、起動した時刻によって、見られる光景が変わってくる。朝がきて人々が動き出し、お昼や夜には多くの人がカフェに訪れる、夜中になれば町は寝静まるといった風に、時間感覚を町の中と共有することができる。
時間帯に応じて、さまざまなイベントが発生するのが特徴。例えば、朝の町を眺めていると、子どもたちが橋を渡って学校へ行く姿を見ることができる。こちらに気づくと手を振ってくれたりもする。昼食時にカフェの前に観光船が着くと、お客だけでなく船長も船を下りて食事をはじめてしまう。実にのんびりとした風景だ。雨の音しかしないような夜中に、泥棒と警官の追いかけっこが……なんてこともあったりする。つい、本当にそこに住んでいるような錯覚を覚えてしまう。
画面中央にある時計台の大時計が、現在の時刻を表示しており、毎時0/15/30/45分になると新しい場面、イベントに切り替わる。早朝の町を見たければ早起きしなくてはならないし、深夜のイベントは深夜でなければ見ることができない。人々の暮らしは見れば見るほど新しい発見があり、飽きることがない。長い期間を費やして、じっくりと楽しみたいものだ。
サウンドと解像度の調整が可能。サウンドは、ショパンの「ワルツ9」など、クラシック5種類が用意されている。再生しないという指定も可能。解像度は、現在の解像度を使用できるほかに、800×600/1024×768に固定することができる。なお、画面やキャラクタが緻密な3Dグラフィックスで描かれているため、動作には一定以上のパソコン性能、グラフィック性能が要求される。まずは試用してみて、快適に動作するか確認しよう。
ただ、マウスが動くとせっかくのイベントが中断してしまうのが、少々残念な気がした。スクリーンセーバなので当然といえば当然なのだが、マウス移動では中断しない(クリックやキー入力で中断する)といった設定があると、より楽しめるように思う。
世界観や背景設定、登場人物など、れっきとした一つの物語ともいえる「Cafe"Lapin"の見える情景」。以前に紹介した「蒼ニ雲〜西ノ空〜」とも設定がつながっているとのことだ。ちなみに、"Lapin"とはフランス語で「うさぎ」という意味。さて、明日はどんな情景をこの窓から眺めることができるだろうか。
(柴崎 ひろ)