回文の作成をサポートしてくれるユニークなソフト。「回文」とは、上から読んでも下から読んでも同じになる文のこと。「しんぶんし」や「たけやぶやけた」で有名なアレだ。傑作を収録した書籍が刊行されていたり、週刊誌に読者投稿による連載があったりして、一部で根強い人気がある。「回文ちゃん」は、そんな回文ファンに贈る、回文作成支援ソフトだ。
「回文ちゃん」での回文作成の基本は「何でもよいから、思いついた言葉を入力」してゆくこと。これが回文のもとになり、「奇数句」「反転奇数句」「偶数句」「反転偶数句」の4種類の基本パターンが生成される。例えば、「べくた」と入力した場合は、それぞれ次のようになる。
- 奇数句:べくたくべ
- 反転奇数句:たくべくた
- 偶数句:べくたたくべ
- 反転奇数句:たくべべくた
となる。「べく」であれば、「べくべ」「くべく」「べくくべ」「くべべく」だ。「いまは思いつかない、あとから考えたい」という文字がある場合は、全角スペースを入力しておけば、暫定代替文字(初期設定では全角アンダースコア)が入るようになっている。さらに「濁音、半濁音、拗音、促音は清音と見なしてよい」という回文のルールから、基本パターンのバリエーションを生成することもできる。「べくたくべ」からは、「へくたくぺ」「べぐだぐべ」など、72件のバリーションが生成された。
回文作成者を強力に支援してくれるもうひとつの機能が部品作成だ。「トマト型」「今朝酒(けささけ)型」の2パターンが用意され、例えば「トマト型」では、「あああ」から「んんん」まで11,116個の部品が作成される。これをベースにさらに肉付けして、回文のもとを作ればよい。
気に入った回文はCSV/TXT形式でファイル保存しておくことが可能。バリエーションリストのダブルクリックで、簡単に保存ファイルに追加できる。
ヘルプには、回文作成において「回文ちゃん」が有効なアプローチとして「とにかく反転して作る−右脳アプローチ」「部品を合成して作る−左脳アプローチ」の二つが紹介されている。また「経験的には、あまり他の人の作品を参考にしないほうが自由な発想ができる」とも。作者の意見も参考にしながら、ぜひ傑作回文を作ってみてほしい。
(練馬 ベク蔵)