移りゆく空の色を、そして流れていく雲の形を眺めるためのスクリーンセーバ。一つとして同じ姿のない雲の動きを、美しい3Dグラフィックで表現している。疲れているときなど、何も考えずにぼーっと空を眺めたくならないだろうか。「蒼ニ雲〜西ノ空〜」は、前身の「蒼ニ雲」を発展させ、時間の経過とともに色を変える「空」と「雲」を豊かに表現したスクリーンセーバ。幻想的に描かれた雲の動きに、つい実際の時間や忙しさを忘れてしまうほどだ。
ゆったりと雲が流れ続ける空は、夜明けとともに明るさを増していく。夕暮れ時には一面が紅く染まり、夜空には満天の星がきらめく。満ち欠けも見られる月は、昼間に姿を見せていることもある。一定の確率で、流れ星や複葉機、優雅に移動する飛行船が登場するイベントも発生。主役はあくまでも雲と空なのだが、これらの演出によって、自然な姿に適度なアクセントが加わっている。
画面サイズは640×480〜1280×1024の5段階から選択できるほか、現在の解像度に合わせることも可能。初期設定では約20分で1日が経過するが、速度を1/50倍から5倍まで6段階に調整できる。雲は、流れる速さを5段階に調整でき、方向も南北に指定できる。飛行船などのイベントの発生確率は「なし」を含めた5段階。特に飛行船は出現確率が低いが、どうしても見たいという人のために「サービスモード」が用意されているのはうれしい。実行中にBGMを流すことも可能。ドビュッシーの「夢」が同梱されているが、別のMIDIファイルを「bgm.mid」名で置き換えれば、好きな曲を流して楽しめる。
動作にはDirectX 8以降が必要。多くの物理メモリや高速なグラフィックカードがあれば、より快適に鑑賞することができる。設定画面には前回起動時のフレームレートが表示されるので、レートが低い場合は画面サイズを小さくするなどして、負荷を調整すればよい。目安は20フレーム/秒とのこと。
試用中は各種設定を変更できない。イベントも「なし」となっているが、複葉機や飛行船は一度だけ出現するので、その姿は確かめられる。自然に雲が流れゆく様や、空の色の変化という「蒼ニ雲〜西ノ空〜」の大きな特徴は十分に体験できるわけだ。心をひと休みさせたい人は、ぜひフル機能で使うことをお勧めする。ちなみに筆者は、茜色に染まりかけた雲に、うっすらと見え隠れする月という情景が一番のお気に入りだ。
(柴崎 ひろ)