筆者は仕事柄、デスクトップ上に複数のアプリケーションを起動しながら作業することが多い。ブラウザやファイラなどは常に開きっぱなしで、付箋紙ソフトやクリップボードツールなども所狭しと並んでいる。こんな状態でありながら、ウィンドウ同士がきれいに並んでいたり重なったりしていないと駄目なのが筆者の性分。下のウィンドウがちょっとはみ出して見えていたり、隣同士のウィンドウが重なったり離れたりしていると、どうも落ち着かない。「そのくらいいじゃないか」と思うかもしれないが、こればかりは性格の問題なのでどうしようもないのだ(苦笑)。
「マグネットウィンドウ」は、この「どうにもいらいらして落ち着かない」という気分を劇的に解消してくれた、非常にありがたいソフトである。その名の通り、ウィンドウ同士を磁石のように「ひっつく」ようにするというシンプルなソフトだが、いまや手放すことのできない必須ツールになっている。
一度使ってみれば、その効果は明白だ。ウィンドウに「ぴたっ」、デスクトップの端に「ぴたっ」、どこにでも「ぴたっ」とひっついてくれる。「ウィンドウ同士をきれいに並べたり、重ねたりするのに苦労していた日々は、一体なんだったんだ」と言いたくなってしまう。
特に助かっているのが、画像編集系のソフトを使うときだ。ツールボックスやカラー、レイヤなど、何枚も開いている操作ウィンドウを簡単に整頓できるのは実にありがたい。ある程度はアプリケーション自身でもきれいに並べられるが、ウィンドウを近づけるだけで「ぴたっ」とひっつく動作は、まったく別次元のものだといえる。
ひっつけるための設定は豊富で、「どこにひっつくか」「どのくらいの強さでひっつくか」といった基本的なものから、ひっつく位置の微調整、はみだし防止、半透明化など、実に細やかな設定を行うことができる。また、ひっつく機能をウィンドウ単位で無効にすることもできるので、「このアプリケーションは好きな位置に置きたい」「微調整したいので対象外にしたい」というニーズにも応えてくれる。とはいっても、「ひっつく強さ」を調整するだけでも十分に効果を堪能できるので、使い続けながら、少しずつ調整していけばよいだろう。
それになにより、この「ぴたっ」とひっつくときの感覚が心地よい。磁石同士、あるいは磁石と金属を近づけたときに引っ張られる、あの独特の感覚を思い出していただければと思う。「マグネットウィンドウ」の名前は伊達ではない。ひっついたときに音を鳴らすことができるのもおもしろい。あらかじめ6種類の効果音が同梱されているが、自分でWAVファイルを用意すれば、「ガシャン」というガラスが割れる音を鳴らすといったシュールな演出もできたりする。
ウィンドウが表に出るわけでもなく、ひっそりと他のソフトの使い勝手をサポートする、いわば「縁の下の力持ち」。それでいながら、どんな作業をしていても「ぴたっ」「ぴたっ」と自己の存在を主張する。そんな小憎らしい(?)「マグネットウィンドウ」を、筆者の「2004年のベストオンラインソフト」として挙げさせていただく。