2004年に出合ったベストオンラインソフトとして、デジカメ写真管理ソフトの「PhotoMaster」を推薦したい。このソフトは「大量の写真データを手早く管理できる」、そして「デジカメで美しく撮るための手助けをしてくれる」という二点において、最近のデジカメ写真管理ソフトの中で異彩を放っている。最近は、パソコンやデジカメのデータ処理速度が向上して、100枚単位の写真も高速に処理できるようになった。また、メモリカードの大容量化・低価格化が進み、256MBのメディアが10,000円弱、512MBでも15,000円程度で手に入る。これにより、デジカメ写真の撮影環境が大きく変化しつつあるように思われる。あまり撮影条件を気にせずに、プロカメラマン気取り(?)で撮りまくれる。写真の取り込みやコピーもごくわずかな時間で行えるため、「カード容量いっぱいまでバシバシ撮影しておき、パソコンに読み込んでから必要なカットだけを残して、その他は消す」という使い方が可能になったのだ。
こうしたカジュアルな撮影は確かに楽しいものだが、知らず知らずのうちに撮影枚数が増えるのが困りもの。筆者自身も体験していることだが、必要か不要か判断できない「微妙な出来」の写真は残しておくことになり、みるみるうちに膨大な枚数がパソコンにたまってくる。それに加えて、撮影条件を細かく注意する必要がなくなったためか、以前にも増して「無駄な写真」が目立つようになった。ゲンキンなもので、機器やソフトの性能が上がったために、1カットへの集中度が下がったような気がするのだ。
「PhotoMaster」は、
- 膨大な写真を自動的に処理する機能
- 「写り」を画面上で検討するための機能
によって、撮影枚数の肥大化と失敗写真の増加という、デジカメユーザの誰もが抱える問題に、ひとつの解決策を与えてくれる。まず、1.のポイントから見ていこう。■大量写真でも手間いらずの「自動写真整理機能」
USB接続によるデジカメやカードリーダからの自動取り込みは、一般的なデジカメ写真管理ソフトでも可能だが、「PhotoMaster」は、取り込んだファイルを撮影日ごとにまとめてフォルダに格納し、さらに「年-月-日」の階層フォルダで分類してくれる。
筆者はこれまでデジカメ写真を、撮影したイベントごとにフォルダを作り「0412Xmasパーティ」のようにフォルダ名の先頭に「年月」を付けて管理していた。ファイル名は変更せず、もともとデジカメがつけたものを、そのまま残していた。この整理方法の利点は、とりあえずフォルダを作ってそこに写真を取り込むだけで、ファイル名をいじる手間がいらないこと、そして月単位でそれなりに「時系列」の管理ができることだが、一方で、撮影する機会(イベント)が多くなってくると、一つの階層にたくさんのフォルダができてしまい、フォルダ名による検索性が落ちてしまうという難点がある。
さらに、2台目のデジカメを購入してからは、このフォルダ管理方法が煩雑になってきた。同じイベントで2台のデジカメを使用した場合、写真を同じフォルダに入れると、それぞれのデジカメによって命名されたファイル名が混在して見苦しいし、別のフォルダにすると、フォルダ数がさらに膨れ上がってしまうからだ。
「PhotoMaster」の考え方はシンプルで、取り込んだファイル名をすべて「撮影日・時間」にリネームし、それを「年-月-日」のフォルダで階層化する。ファイル名が一律でリネームされてしまうわけだが、複数台のカメラを使っている場合などで、たくさんの写真データを統合管理するには、この方が都合がよいはずだ。また、USB経由による取り込みだけでなく、画像ファイルを含むフォルダのドラッグ&ドロップにも対応しているので、パソコンにため込んだ画像ファイルの「再整理」に利用することもできると思う。
■撮影テクニックを磨くための「写真チェック機能」
もうひとつ、「PhotoMaster」が力点を置いているのが、写真の「出来映え(写り具合)」をチェックする機能だ。輝度の分布や任意の部分の輝度値表示、飽和輝度部(白飛びや黒つぶれを起こしている部分)の強調表示のほか、露出補正、写真上のグリッド表示などの豊富な機能を備えている。
なかでも、露出補正のシミュレート機能を備えている点はありがたい。露出失敗した画像を「修正」するというよりも、デジカメと同じ操作感覚(+0.3など)で補正できるので、ユーザは撮影時に立ち戻って「これだけの露出補正が必要だった」と反省する材料になるわけだ。
もちろん、画像サイズや撮影/修正日時といったファイル情報を表示するほか、焦点距離、露出/絞り値、露出補正など、すべての撮影情報(Exifデータ)も、「画像」「機材(デジカメ)」「露出」という三つのカテゴリーごとに見やすく表示してくれる。
さらに、好きな写真を「イベント」として登録する機能もある。保存先フォルダはそのままで、登録した写真の一覧リストを作成して日付/名前順に並べたり、撮影年/撮影月/カメラ/ファイル名によって検索できたりする。ちょうど写真アルバムにつける栞の感覚で、膨大な写真の中からお気に入りショットを手軽に探し出すことができるわけだ。また、フィルタ機能は「セピア」「彩度高」などの簡単なものに絞り込む一方で、アスペクト比の変更では豊富な比率を備えている。撮影情報入りでスライドショウを閲覧できるなど、写真を楽しむために必要な機能を効率的に盛り込んだ印象だ。
失敗を気にしないで、ひたすら「撮りまくれる」のがデジカメのいいところ。とはいえ、失敗写真から何も学ばないのでは、上達はおぼつかない。撮影しっぱなしでなく、撮影した写真を見ながら露出や構図の決め方を検討して、撮影テクニックを磨くための参考にする。また、撮影条件と「写り」を比較検討することで、カメラの特性や自分の好み、撮影スタイルが理解できる。
「PhotoMaster」を使うようになってから、撮影時には前にも増して条件に気を配るようになった。ひょっとすると、写真の腕が上達したような気もする。いや、筆者にとってはそれよりもまず、デジカメによる撮影の楽しみを思い出させてくれた貴重なソフトなのである。