あっという間にもう一年の終わり。思えば昨年の特別号では、海外製のサーバインストール型blog管理ツールという、ベクターの記事にはやや不似合いなソフトを紹介させてもらったが、blogはその後、筆者の予想をはるかに超えたブームになったようだ。そうした意味もあって、今年最も印象に残ったソフトには「Headline-Reader」の名前を挙げておきたい。もちろん、「Headline-Reader」自体はblogツールではない。しかし、ヘッドラインニュースやblogの記事を手軽に読めるこのソフトは、RSSやAtomなどのフィードが持つ可能性と利用法をわかりやすく教えてくれたという点で、blogブームを脇からしっかり支えたといっても過言ではないと思う(筆者がプライベートなサイトに以前から設置している掲示板が、実はフィードに対応していると知ったのも「Headline-Reader」がきっかけである)。
もちろん時代性や象徴的な意味だけでなく、ソフトウェアそのものも優秀だ。キー操作だけで見出しを斜め読みしたり、未読/既読を把握できたりといったメールソフト的な使い方をベースにしつつ、ブラウザ機能も内蔵することで、ひとつのアプリケーションの中でいつでも使い方を切り替えられる柔軟性がある。平たく言うと「記事本文を読むために、いちいち連携するブラウザに切り替えなくてよい」ということだが、これが新鮮で快適だった。しかもニュースサイトから個人のblogまでまとめて読めるところは、さながらWebコンテンツを集約する総合情報閲覧ツールといった趣きだ。
タブ切り替え式のブラウザ部には、翻訳ボタンなども備えた検索ツールバーやスクリプトの実行制限をはじめとするセキュリティ設定などの機能があり、単にWebブラウザとしてみてもなかなか使いやすい。その上で、自動更新機能で定期的に新しい記事を取得できるだけでなく、取得した記事の並べ替えやキーワード検索を行えるなど、ちょっとした記事データベース的な使い方ができるのも、これまであったプッシュ型配信などとはまたひと味違った「Headline-Reader」ならではの魅力といえるだろう。
フィードもWebページもページ記述言語の派生形と考えれば、その融合は必然ともいえるが、それを具体的な形で提供したことで、インターネットでの情報閲覧がさらに一段階進歩した感じだ。多数のコンテンツを効率よくウォッチしたいのなら、ぜひ試してほしい。