2004年もさまざまなゲームをプレイしたが、そのなかでも特に心に残ったのが、経営シミュレーションゲーム「レミュオールの錬金術師」だ。経営シミュレーションというと、細かなステータスを調整する難しいイメージがあるが、「レミュオールの錬金術師」は“誰でもプレイできる間口の広さ”が特徴だ。ゲームの内容は、金遣いの荒い主人公が多額の借金を背負い込み、これを返済するために商売をはじめるというもの。遊び方はいたってシンプルで、基本的には市場などで商品を仕入れ、自分の店で販売する。値段は店に来る客が勝手につけるので、販売といっても商品を店頭に並べるだけでよい。客と交渉して値段を吊り上げることもできるが、それほど神経質になる必要はない。ただし、客が多く来ると店が汚れるので、定期的に「掃除」を行う必要がある。
基本はシンプルだが、ゲームに慣れるにつれて、奥の深いルールを楽しめるようになる。まず、商品の販売数により、さまざまな特典を手に入れることができる。通常、商品は市場などで手に入れるが、売り上げ個数が100を超えると、市場に行かなくても毎朝一定量を自動的に納品してもらえるようになる。200を超えると「加工」が可能になる。
加工とはその名の通り、商品に手を加えて別の商品を作り出す作業。例えば「卵」を加工すると、「温泉卵」を作れる。さらに「温泉卵」を加工すると、「プリン」を作り出せるといった具合。加工した方が商品単価は高くなるが、主人公の体力を消費してしまう。体力がなくなると、体力が戻るまで加工できないだけでなく、店の掃除などもできなくなるので注意が必要だ。
加工した商品も100個以上売ることで、毎朝自動的に仕入れることができるようになる。さらに、売り上げ個数が500を超えると、開店中でも商品がなくなった時点で、商品が自動補充される。ここまでくると、その商品は安泰だ。
とはいえ、常にプレイヤーを悩ませる問題もある。それが商品陳列や保管を行う「スペース」だ。開始時点でプレイヤーが手元に置ける商品は11種類で、そのうち店頭に並べられるのはわずか3種類だけ。加えて、キープできる総数も決まっており、開始時点では合計30個までの商品しか持つことができない。この問題を解消するためには、店を改装して倉庫や店頭スペースを広げる必要があるのだが、これがまた高額だったりする。
プレイヤーが手に入れられる商品は、なんと200種類以上。一度手に入れた商品は「図鑑」で見ることができる。図鑑をコンプリートするのも、お楽しみ要素のひとつだ。入手方法はさまざまで、市場などで購入するほか、冒険家を雇ってダンジョンを探索させることで手に入るもの、ランダムで発生する数字当てゲームなどのミニイベントで手に入るものなどがある。
このほか、店に並べる商品のジャンルをコントロールしたり、商品を売る客層を制限することで、「金持ち用の生活用品店」や「庶民の大規模食品店」など、自分の店の方向性を決められるのもおもしろい。
冒頭で、「レミュオールの錬金術師」の魅力は“間口の広さ”だと書いたが、もうひとつの魅力は“自分のペースでゲームができる”点だろう。手に入った商品を片っ端から加工して、高リターンを追及した商売も可能だし、ゲームオーバーやタイムリミットがないので、「市場で手に入る商品を販売する」という方法でシンプルにじっくりと店を育てることも可能だ。プレイスタイルから目標まで、自分で自由に選べるのがとにかく楽しい。