「神戸ルミナリエ」「東京ミレナリオ」というイベントが毎年行われている。どちらもヨーロッパのバロック時代に「祝祭芸術」として創られた、光の装飾を纏った建築物を起源とするものだ。光の持つ美しさ、芸術性を追求した「都市」が浮かび上がる光景を見に行かれた方も多いと思う。また、よく知られている光の芸術に「万華鏡(カレイドスコープ)」がある。世の中にはさまざまな種類の万華鏡があり、組み合わされた鏡によって無限の華が乱舞する姿には、誰もが魅了されずにはいられないだろう。
この「光の美しさ」をスクリーンセーバにしたのが、今回紹介する「『万華球』スクリーンセーバー」だ。神戸ルミナリエのイルミネーションイメージを、刻一刻と移り変わる万華鏡の光の集合で見事に表現している。正直なところ、その幻想的な空間を言葉で表現するのは無理難題である。「百聞は一見にしかず」、とにかく一度見てほしい。
……とはいえ、それでは「おすすめアミューズメント通信」にならないので、機能について説明していこうと思う。万華鏡としては一般的な三角鏡構成で、明るさや大きさの異なる色とりどりの細かな光の粒が球体上を移動し、回転する。その動きは対称性と連続性を持っており、大小さまざまな三角形の集団が、花や渦巻きのような幾何学模様を創り出していく。中心に近づくにつれて三角形を小さくすることで奥行き感が表現され、吸い込まれるような錯覚を覚えてしまうほど。
詳細な設定ができるのもポイントだ。「Objects」は構成する光点、すなわち万華鏡の中身についての設定で、最大数と速度を調整することができる。一つの万華鏡像(三角形)に表示させる最大数とは「中に入っている粒の数」であり、実際に表示される光点は2,000倍近くに複製されることになる。「Sphere」は光点が表される球体、いわゆる万華鏡の胴体についての設定で、視点からの距離と、水平/垂直方向の傾きを調整できる。「Rotation」では、球体の回転速度や軸、回転方向の指定が可能だ。それぞれの設定をわずかに変えただけで、まるで違った光景が展開される。まさに無限のバリエーションを持っているといえよう。
見た者が忘れられない美しさと、なんともいえない安らぎ感を与えてくれる「『万華球』スクリーンセーバー」。スクリーンセーバというカテゴリーに収めるには、もったいない気もする芸術作品だ。
(柴崎 ひろ)