暗闇に包まれたデスクトップを、蛍の光が浮かび上がらせるスクリーンセーバ。淡い光が静かに飛びまわる光景は、実に幻想的だ。起動すると、真っ暗な画面の上に光がぽっと灯り、デスクトップ画面の一部をほのかに照らし出す。光は明度を増しながら移動し、やがて明るさを失って消えてゆく──基本的にはこの繰り返しだが、ときにはすばやく移動し、あるいは1ヵ所にとどまって光るなど、その姿はまさに「蛍」の名にふさわしい。ウィンドウのタイトルバーで停止して照らしだしたときなどは、草の上でひと休みする蛍を連想させる。
おもしろいのは、光の色を自由に変更できること。RGBの値をそれぞれ0〜255の間で調整して、最大でフルカラー(約1,677万色)の中から好きな色の蛍を生み出すことができる。デスクトップの配色に映える色や、「こんな蛍が本当にいたら……」と思うような色にするなど、いろいろと楽しめる。暗めの色にすると光が弱くなるので、明度の調整にもなる。白色や原色など極端な設定にしても、自然な光り方になるのは実に不思議だ。
飛ぶ蛍の数は、最大20匹まで指定することが可能。光の大きさは大/中/小の3段階で調整できる。光の点滅速度や移動速度が速すぎる場合には、「待」(ウェイト)を入れることもできるので、高速なパソコンを使っているユーザでも、穏やかな雰囲気を味わえる。
画面全体を暗くした上で一部を明るくするというスクリーンセーバは、決してめずらしいものではないが、微妙な動きと光り方で、デスクトップという大地を優雅に舞う蛍たちを表現し、どこか「ほっ」とさせてくれる素朴さを感じさせてくれる点で、強く印象に残る1本となっている。季節はすでに冬も本番だが、外は冬、内は夏というのも、なかなか楽しいものだと思う。
(柴崎 ひろ)