数学だけが生きがいの、孤独な女の子の物語
人は幸せでなければならない、と仮定します。
幸せかどうかを感じるのは人の心ですから、人は、その心を充実させなければなりません。
利根川たゆみは、何も持っていない女の子です。
彼女にはあたたかい家族も信頼できる友人もいません。
彼女は閉じられた白い部屋で膝を抱えてうずくまっているだけです。
自分が何も持っていないことを思い知ることしか出来ません。
利根川たゆみは、本当にゼロなのです。
しかしだからと言って、何も無いからと言って、それで全てを投げ出すことは、幸せを放棄することに繋がります。
幸せを求めることをあきらめられれば、これほど楽な話は無いのですが、生きている限り、それは許されません。
人はゼロの状況にあってさえ、幸せを求めなければならないのです。
あるいは、自分の恵まれない状況をも愛さねばならないのです。
利根川たゆみは、そういった過酷さに耐えられない弱い女の子です。
でも自分の心を大切にし、充実させることを知れば、もしかしたら幸せについて理解することが出来るかも知れません。
これは、彼女の心を育成するシミュレーションゲームです。