筆者は随分前から長いこと、Webブラウザの「Sleipnir」を愛用している。文字通り「手になじんでいる」こともあって、大変に重宝しているのだが、ほかの人に勧めるには、やや躊躇も覚える。相手がパソコンにあまり詳しくない人(必ずしも初心者ではないのだが)だと「どうかなあ」と思ってしまうのだ。
とにかく「Sleipnir」は、機能が多すぎるのである。「すぎる」という言い方はどうかとも思うが、通常のWebブラウジングではあまり使わない機能もてんこ盛りで、そうした機能は使わない人には必要のないものなのだ(当たり前だが)。
必要のない機能は最初から付いていないものとして見ないことにすればよいと思うのだが、どうもそう簡単に割り切れるものでもないようで、「なんかいろいろ面倒くさそう」ということになってしまう。ツールバーをカスタマイズして実際に見えないようにする手もあるのだが、それができる人、やろうとする人は、もはや「パソコンにあまり詳しくない人」ではなかったりする。
「Sleipnir」に限らず、「タブブラウザがよくわからないから」という理由でInternet Explorerを使っている人を見て「もったいないなあ」と思っていたのだが、そうした人にも勧めることができるブラウザが出た。それが「Grani」だ。「Grani」は、「Sleipnir」からプロキシやスクリプトといった上級者向け機能を除き、さらにメニューバー、ツールバーを整理して「難しそう」なイメージを払拭したブラウザである。
位置づけは「Sleipnir」のエントリー版だが、快適なWebブラウジングを実現する、さまざまな便利機能はしっかりと受け継がれている。「戻る」「閉じる」といったコマンドをマウスの動きで実行できる「マウスジェスチャ」、スクリプト/ActiveXのON/OFFを自在に設定できるセキュリティ機能、多くの検索サイト(Google、Amazon、百科事典、乗り換え案内、天気予報など)に簡単にアクセスできる「検索バー」などなど。
目新しいところでは、開いているページ内の文字列を直接キーワードにして検索できる「SmartSearch」がある。実際に使ってみると、ちょっとびっくりするくらい便利な機能である。さらにRSSリーダ「Headline-Reader」のプラグイン版が統合されていて、非常に使い勝手のよいRSSリーダとしても利用できる。
初心者用どころの話ではなく、ほとんどのユーザにとって不足のない機能が、「Grani」には詰まっている。長年の「Sleipnir」ユーザである筆者にしても、プロキシやスクリプトなどはまず使うことがない。タブブラウザを使う理由、「Sleipnir」を使っている理由のほとんどが、この「Grani」で満たされるのだ。
これからは、IEを使っている人を苛立ちまぎれに見ることなく、ためらいなく「悪いことはいわないから、これ使ってみれば」と言うことができる。精神衛生上も大変によろしいソフトである。
Grani 4.7 スウィートなタブブラウザ (6,315K) |