本年のベストオンラインソフトには、非常に個人的な理由で「私立華々学園F1(フリーソフト版)」を選ばせていただいた。その理由というのは、このゲームをプレイしてはじめて花札(こいこい)のルールや役がわかり、おもしろさも理解できるようになったからである。
一応、これまでにも花札に関する断片的な知識はあったのだが、札の絵柄と役の関連を覚えるのが面倒そうなので敬遠して、きちんと覚えようとしたことはなかった。ところが「私立華々学園F1」の場合、それらの知識がなくても十分楽しむことができる。「アシスト」機能により、プレイヤーの手番になると、重ねることができる手札と場札の枠が青く光って、重ねられることを教えてくれる。さらに手札を選ぶと、その札を重ねて取ることのできる場札の枠が黄色くなる──とてもわかりやすくて親切な機能だ。
しかも、場が進んで取札が増え、役が形作られてくると「完成間近の役」を青色で表示してくれる。役が完成すると赤色に、「月見酒」「花見酒」といった追加役のみが完成しているときは黄色の表示となる。おかげで、ゲームを繰り返しているうちに自然と「こいこい」の役を覚えてしまった。獲得した取札が「カス」「短冊」「タネ」「光札」の4種類に分類されて自動的に並ぶのも、札の種類を覚えるのに役立つ。
もちろん、このゲームのおもしろさは花札の部分だけではない。ゲームに登場する女の子の「松下凛子(まつしたりんこ)」と「妹尾未来(せのおみく)」が二人ともフルボイスでしゃべってくれる点がうれしい。表示されるCGも絶品だ。花札の対戦中、相手の凛子が状況に応じて次々と表情を変えるのも、見ていて楽しい。
ゲームは「こいこい」による対戦で、勝負は計4ステージ。各ステージの勝利条件は、相手に3回勝つか相手の文数を0以下にすること。勝つと、文数同士の乗算×10Pのスコアが加算され、最大100万点の得点を獲得することができる。ステージクリアすると女の子への質問を2択で行えるのも、ゲームに勝利するモチベーションを高めてくれる。腕に自信のある人は、高得点を狙って次々と「こいこい」を繰り返すのもよいだろう。
ノーマルな花札ルールだけではない、コンピュータゲームならではの演出「華々チャンス」も用意されている。「華々チャンス」は、勝負開始前に、プレイヤーや相手の手札に役作りや得点面で有利な仕込みが入るというもの。各ステージのクリア後にはスコアを大量に獲得できるチャンスがある「ボーナスゲーム」も用意されている。全体のボリュームは短めだが、それ以外の点では満点の出来といってよいだろう。
今回紹介した「凛子編」に続いて、「華々学園」に登場するほかの3人が主役を務めるキャラごとのフリーソフト版、ステージごとに対戦相手が変わるシェアウェア版も順次発表されるとのこと。そちらも非常に楽しみだ。
私立華々学園F1(フリーソフト版) 1.01 新作花札ゲーム 女子校生とこいこい遊戯!(凛子編) (11,098K) |