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特別企画●'97年印象に残ったフリーソフト&シェアウェア(2)
天野 司
AMANO Tsukasa
●リアルタイム3Dアニメーション作成システム「VG」
●リアルな3次元表示が楽しめる景観CG作成ソフト「カシミールNEXT」
●フルカラーグラフィックのハイクォリティな減色「OPTPiX」
デモが魅せる「VG」
最近のパソコンではもはや3次元表示機能が当たり前になった。これを反映してか、今年紹介したソフトでも、Direct3D対応や、3Dモデリングツールの類は多かった。その中で最も印象に残っているのがこの「VG」である。
「VG」は、3次元モデリングツールとアニメーション再生ソフトのセットで構成される。同様の構成は他ソフトにもいくつかあり、機能面では「VG」が最も優れているとはいい難いのだが、この「VG」、何しろデモが秀逸である。水着の少女がフルスクリーンでリアルに動き回るその姿は、緻密で実感あふれるグラフィック描画よりもはるかに印象的だ。
別に「水着の女の子だから」というわけではないのだが(いや、少しはあるかも……)、とにかくそのインパクトは、3Dグラフィックスを知らない人にも興味を持たせるに十分である。音楽と連動した機能やスクリーンセーバ機能など、「魅せる」ことに関してはダントツのソフトといえよう。動作にはDiretX2以降が必要。
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画面2-1●VGのデモ画面
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高い完成度の「カシミール NEXT」
同じく3次元グラフィックス系が続くが、「カシミール NEXT」は3次元景観CG作成ソフトだ。標高のデータを数値で記録した「数値地図」から、その場所における3次元の景観を計算し、画面上に表示する機能を持つ。
国土地理院が発行する数値地図は、CD-ROM版の発売によって広範囲の情報が安価に入手可能になった。これにより「カシミールNEXT」の機能を試すことのできる機会は大幅に増加したといってよい。とにかくデータさえ用意すれば、訪れたことのない場所からの景観が自宅にいながらにして一望できるというコンセプトが楽しいではないか。おそらくほとんどの人が一生行くことのない高山の山頂だって、「カシミール NEXT」があれば、そこからの景観を「計算」できるのだ。
「カシミール NEXT」はフリーソフトであるが、とにかくその完成度の高さには舌を巻く。機能の高さ、使いやすさ、わかりやすさは市販ソフト並み、いや、それをはるかに超えるといってもよい。まさにお勧めのソフトである。
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画面2-2●カシミール NEXT
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抜群の実用性「OPTPiX」
最後に紹介するのが、フルカラーグラフィックスの減色ソフト「OPTPiX」だ。Webコンテンツ中にフルカラーの写真データを含めようと思うと、最初に突き当たるのが画像フォーマットの問題だ。JPEGでは圧縮時のブロックノイズが気になるし、ブラウザでの表示も遅い。かといってGIFでは256色までしか使えない。というジレンマは誰しも悩まされたことはあるだろう。
フォトレタッチの最高峰ともいえる「Photoshop」を持ってしても、フルカラー画像を256色までに減色すると画質劣化はかなり目立つ。普通はここであきらめてしまうのだろうが、「OPTPiX」を使えば、まるでいままでの苦労が嘘であるかのような、高画質な256色画像を作ることができる。実際、かなり微妙な色合いを持ったフルカラー画像で試してみたが、じっくり目を凝らさないと、元のフルカラー画像と256色画像との差は感じられなかった。
パソコンの性能が上がり、フルカラー表示が当たり前になったいま、レタッチソフトはフルカラー環境を前提として機能強化を進めてきた。ところがWebの急速な普及により、256色での画像配布が、レタッチソフトの思わぬ弱点を突いた格好になった。こんな中、「OPTPiX」は10万円を超えるソフトにさえできないことをやってのけてくれる。これが専用ソフトとしての強みであり、技術の蓄積のたまものといえるのだろう。「OPTPiX」はWebコンテンツの提供者にとっては必須といえるソフトである。
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画面2-3●OPTPiXの設定画面
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<INFORMATION>
VG : for Win95/フリーソフト/週刊ソフトニュース記事
カシミール NEXT : for Win95/フリーソフト/作者のホームページ/週刊ソフトニュース記事
OPTPiX : for Win95/シェアウェア(4,800円)/作者のホームページ/週刊ソフトニュース記事
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