簡単に使うことができ、操作時の効果音も楽しい、フリーの子ども向けお絵描きプログラム。ボタンの文字や説明文などには、ひらがなやカタカナが使われている。「Tux Paint(タックスペイント)」は、Linuxのマスコットキャラクタ「タックス(Tux)」が案内役を務めてくれる、クロスプラットフォーム/マルチランゲージのお絵描きソフト。主に3歳から12歳までの子どもを対象にしている(が、大人でも楽しめる)。多彩な描画ツールを備えながら、シンプルなインタフェースや、大きくわかりやすいボタンアイコンにより、はじめてでも直感的に操作することが可能。保存時にファイル名を指定する必要はなく、保存した画像の呼び出しはサムネイルで行うため、ファイル名を意識する必要はない。描画した作品をスライドショウで楽しんだり、印刷したりすることも可能。プラグイン機能により、ユーザがオリジナルのツールを作成することもできる。
メイン画面の標準サイズは800×600、最小サイズはVGAでも使用できる640×480。画面左側には描画機能を選ぶための「どうぐ」が、右側には選択した「どうぐ」に対応したオプションが、下部にはカラーパレットが配置された構成。個々のボタン名などにはひらがなやカタカナが使われ、子どもにもわかりやすい。例えば、ペイントブラシは「ふで」、スタンプは「はんこ」、直線描画は「せん」、多角形や円などは「かたち」、テキストツールは「もじ」、特殊な描画機能は「まほう」といった具合。いずれの機能も選択すると、画面下部に使い方の説明がひらがなとカタカナで表示される。
操作時に効果音が鳴るのも楽しい。機能の選択時にクリック音が鳴るだけでなく、描画時にマウスをドラッグした際にも、描画機能ごとに異なる音が鳴る。
「はんこ」では、描画エリアをクリックすることにより、あらかじめ指定したパターンが配置される。利用できるスタンプの数は極めて多く、「Tux Paint」本体とは別に配布されている「スタンプパッケージ」をセットアップした状態では、数百種類以上にも上る。スタンプは動物や乗り物、衣類や食べ物などに分類され、配置してゆくだけでもお絵描きを楽しめる。スタンプによっては、選択した時点で(例えば動物の鳴き声などの)音が鳴るものもある。
変形やモザイク、ぼかしやにじみなどのフィルタ、特殊描画といった機能は「まほう」にまとめられている。一般的なペイントソフトに搭載されているようなものに加え、
- 一度のストロークで上下左右対称の四分割の図形が描画される「まんげきょう」
- 碁盤の目のように正方形のパターンで描画される「タイル」
- 大雑把に円弧を描くと、その円弧に沿った虹が描画される「なないろのにじ」
など、他に類を見ないユニークな描画機能が数多く揃う。さらにキャンバスには白を含む単色のもののほか、塗り絵のアウトラインや額縁、風景写真などが用意され、さまざまな形でお絵描きを楽しめるよう工夫されている。描画結果を保存する際には、Windowsでは不可欠ともいえるファイル名やフォルダ名の指定は不要。ファイルはすべて「Tux Paint」デフォルトの保存領域に保存され、再読み込みの際には、描いた画像のサムネイルから選択する。ファイルの概念を廃し、複数の画像をスケッチブックのようにまとめて扱うことができる。
もちろん作品を印刷することも可能。あらかじめ設定しておくことで、ある程度の時間が経たないと再印刷できないようにするオプションもある。子どもがむやみやたらと印刷出力することを防ぐペアレンタルコントロール機能だが、こうした配慮も子ども向けソフトとして安心できる。印刷を含む詳細な機能設定は別プログラム(tuxpaint-config.exe)で行う。