以上、見てきたように「天体ソフト」といってもさまざまなタイプのものがある。今回取り上げたソフトは特に天体に関する知識が必要なものではなく、逆にこれをきっかけに天体に興味を持ったり知識を得たりすることができるものなので、誰でもすぐに使うことができるだろう。とにかく、天体というおもしろいものを一部のマニアに独占させておくのはもったいない。ぜひとも試していただきたい。
それでは簡単に、今回紹介したソフトについて使用感なども含めてまとめてみよう。
「つるちゃんのプラネタリウム」は、オーソドックスなプラネタリウムソフトだが、これが本当にフリーソフトでいいのだろうかと思うくらい、さまざまな機能が盛り込まれている。オーソドックスなプラネタリウムを楽しめるほか、シミュレーションを使ったり自動運転をさせて、星の動きをぼんやり眺めてみるのもいいだろう。気になる星や星座については、簡単に情報を表示させることができるのが非常にうれしい。
「HippLiner」は、今回取り上げたソフトの中ではやや取っつきにくい印象があるかもしれない。しかし、難しいことは抜きにしても、どこでも好きな星へ行って、そこから見える星空を3Dで見ることができるのは楽しい。「好きな星へ行って」と書いたが、実際に星への移動はちょっとした星間旅行の気分を味わうことができる。大変におもしろいソフトだ。ただし、マシンパワー、特にグラフィック周りのスペックを要求する面があるので、その点は注意が必要だろう。
「天体の出没時刻計算」は、まさにネーミングそのままのソフト。太陽や月の出没時刻を調べるという機能からも、また計算結果がテキストベースであることからも、かなり実用性が高いソフトといえるだろう。観測日時の範囲は非常に広く、また計算の間隔も自由に設定できることはかなり便利だと思う。観測地点もデフォルトでも豊富に登録されているが、これも追加可能な仕様になっている点は好ましい。
「Astro スクリーンセーバー」は、個人的に最も気にいったソフト。特に天体ファンというわけではなくとも、こうした天体写真は好きだという人は少なくないのではないか。何をどうすれば、子持ち銀河や馬頭星雲のようなとんでもない造形ができるのだろうと、いくら見ていても飽きることがない。北原勇次さんの写真の美しさは言うまでもないが、写真の邪魔をせず、なおかつ美しく仕上げたスクリーンセーバーの作者には敬意を表したい。
「月のみちかけカレンダー」は、シンプルな月齢カレンダーで、そのシンプルさに好感が持てるソフト。月齢をグラフィカル表示するので当然かもしれないが、黒を基調にしたデザインがいい。やはり壁紙も黒にして、月がデスクトップから浮かび上がるような感じで使いたい。
「SGSアニメ授業『中学理科』 天体」は、プログラムではなくFlashムービーをWebブラウザで再生するというスタイルのソフト。中学生向けの学習ソフトということになっているが、かなり昔の中学生(つまり大人)でも十分楽しめ、また役に立つソフトだ。忘れていたことを思い出し、また当時わかっていなかったことをあらためて理解することができる。ただ、ひとつ注文をつけるとすれば、せっかく目次をつけてそこから各章に飛べるようになっているのだから、各章が独立した構成になっていればよかったと思う。