船上で起こった連続殺人事件の謎を解いて犯人を探し出す、サスペンスタッチのアドベンチャーゲーム。
はじめは何の変哲もない長く退屈な船旅に思われた。遊戯施設のひとつもなく、食堂でやたらとアニメの上映が行われている小さな客船での旅。しかし、状況は一人の航海士の失踪を境に一変する。警察官志望の高2のヒロイン・佐々木真澄は、失踪事件の謎を解こうと、旅の連れである主人公を誘って船内の調査を開始するが、大した成果を挙げられないまま、第二、第三の殺人事件が起きる……といったストーリー。
「陸の明かりが見えない」では、主人公の設定は「真澄の昔からの知り合い」「一緒にハワイへの観光旅行に行った帰り」ということ以外、名前も性別も年齢もプレイヤーが自由に決められる。年配の保護者、同性の友人、異性のちょっと気になるお兄さん、そして小さな子どもなど、さまざまなシチュエーションでゲームを楽しむことができる。もちろん、ヒロインをはじめ、ほかの登場人物たちの反応も主人公の設定によって多少変化してくる。
ゲームのタイムリミットは、船が日本に到着するちょっと前までの6日間。この6日間をどのように過ごすのもプレイヤーの自由だ。ヒロインの真澄と協力して事件を調査するのもよし、単独で調査するのもよし。事件をまったく無視してただブラブラとするのもまたよし。登場するすべてのキャラクタはそれぞれのタイムスケジュールにしたがって行動し、プレイヤーが事件を調査する・しないにかかわらず、事態は進行してゆく。最後にプレイヤーを待っているのは、最終日までに主人公が取った行動によって異なるマルチエンディングだ。
バグのためにフリーズしてイライラさせられたり、うろちょろする連れが邪魔に感じたりすることもあるが、雰囲気作りが抜群で、十分に楽しめるゲームに仕上がっている。1回のプレイ時間が比較的短めなことに加え、プレイするたびに新たな発見があるため、何度も繰り返しプレイできる。
ゲーム中にミニゲームが隠されていたり、本棚の本におまけの短編小説が用意されていたりと“遊び”がある点も楽しい。ベストエンドに到達するのはかなり難しそうだが、到達後にはお楽しみも用意されているとのことなので、ぜひチャレンジしてみてもらいたい。