紙の書籍を裁断し、1ページごとにスキャンしてZIPなどで固めたものが、いわゆる「自炊」のデジタル書籍だ。裁断という心理的に抵抗のあるステップさえ乗り越えれば、場所を取る紙の書籍をコンパクトに保存でき、さまざまな応用も利く、便利な活用術だ。こうした“自前で作成したデジタル書籍”ファイルを閲覧するためのビューアにはさまざまなものがある。「ZipPla」も、こうした自炊書籍ビューアのひとつといってよいだろう。ただし、単に「ビューア」として捉えてしまうと、このソフトを正しく理解しているとはいえない。というのは、書籍を閲覧するためのビューア機能だけでなく、ファイル管理機能が思いのほか(?)強力だからだ。
本文でも説明したように、「ZipPla」には、書籍が収められたアーカイブ(書庫)ファイルのほか、PDF文書、音声ファイル、動画ファイル(に含まれる画像)までもサムネイルとして管理できるという、対応範囲の広さを持っている。しかもファイルへのタグ付けやレーティング、フォルダ内のファイル名に対するフィルタなど、数多くのファイル管理機能が搭載されている。高機能ファイル管理ソフト顔負けといってよい。
さらにいえば「ZipPla」では、オプションで登録することにより、さまざまな外部プログラムを呼び出すことも可能。クリックで起動するプログラムとコンテキスト(右クリック)メニューに表示されるプログラムとを異なるものにすることもでき、実に柔軟に設定できるようになっている。
自炊用ではない、一般の電子書籍ビューアであれば、必ず搭載されているファイル管理機能だが、もともと自炊書籍閲覧用として開発されたソフトがここまで強力なファイル管理機能を持つのはなかなかすごい。動作も軽快なので、興味のある方にはぜひともお試しいただきたいと思う。
(天野 司)