等身大の女の子が描かれた──ある意味で非常にリアルな──“微ホラー”アドベンチャーゲーム。最大の特徴は「主人公の『ちさと』を美化することなく表現し続けていること」だろう。主人公がトイレで用を足すのも、この手の作品としてはめずらしい(もちろん具体的な描写まであるわけではない)。そのほかにも、トイレがかなり印象的に活用されていると感じた。ただしその分、ちさとは決して「きれいな」少女ではない(よごれた少女が苦手な人はプレイを避けた方がよいかもしれない)。その点が気にならない方にはお勧めできる作品だ。
“微ホラー”で、いわゆるホラー的な展開は多くはない。「恐いのが苦手」という方でも問題なくプレイできるだろう。餓鬼が追いかけてくる場面は多く、デストラップもあるものの、ある程度事前に予測ができ、おどろおどろしさは感じなかった。餓鬼の追跡は必死に逃げ続ければ、振り払うことができる。
全体的に暗め基調の作品だが、テーマは一貫して家族の愛情。ゲーム終了後の余韻には心温まるものがある。
(秋山 俊)