「Mitaka」は、国立天文台三鷹キャンパスの「4D2Uドームシアター」で使用されているソフト。最新の観測結果や理論にもとづく宇宙の姿を自宅のパソコンで楽しめるのはうれしい限りだ。一般的な天文シミュレータとの違いは、地上に縛られず、宇宙空間へ飛び出して自由に動き回れること。“現在観測可能な限り”という意味での「宇宙の果て」も飛び越し、さらにその外側から眺めることもできてしまう。記憶に新しい3月9日の日食や探査機「ニュー・ホライズンズ」の冥王星接近といった話題のイベントも「プリセット」メニューから簡単に疑似体験できるようになっている。一方、時間の経過を追って自動的に変化するのは「実時間モード」だけで、基本的にはユーザ(というよりは4D2Uドームシアターのオペレーター?)が操作するためのソフトであることも伺われる。
宇宙空間に描かれた星々の多くは単なる点ではなく、一つひとつ固有のデータを持つ恒星や星団だということも感激もの。何気なく視点を動かしているうちに目立つ星が気になってクリックしてみると、実は超有名な恒星だったりすることもあり、平面的な星座の世界とは違う“宇宙の立体的な広がり”を感じる。
国立天文台三鷹キャンパスや全国十数ヵ所のコンテンツ公開施設になかなか足を運べない方にとっては、このようなソフトを一般に公開していただけるだけでもありがたいはず。春休みに家族揃って宇宙体験を楽しんでみるのもよいのではないだろうか。
(福住 護)