最新の観測データや理論的モデルにもとづいて作成された宇宙の姿をパソコンで楽しめる“インタラクティブ4次元デジタル宇宙ビューア”。「『はやぶさ2』の地球スイングバイ」などを見ることもできる。「Mitaka」は、プラネタリウムのように地表から星空を見上げるだけでなく、宇宙空間に視点を移動し、惑星や恒星から銀河系外の天体、宇宙全体までをも観ることができる天文シミュレーションソフト。空間の移動に加えて時間の変化も再現し、宇宙を4次元的に体験することができる。国立天文台三鷹キャンパス内4D2Uドームシアターでの上映用ソフトとして使用されている。
選択できる宇宙表示モードは、
- 地上から星空を観察する「プラネタリウムモード」
- 惑星外へ飛び出し視点を自由に移動できる「宇宙空間モード」
の二つ。切り替えには「離陸・着陸」コマンドを使用する。地球だけでなく、火星をはじめとしたほかの惑星に着陸し、そこから星空を眺めることも可能だ(着陸するには、ある程度の距離まで接近する必要がある)。起動直後は、当日20時の三鷹近辺の星空が表示される「地上モード」。表示する方角や範囲(視野角)、日時の変更などをユーザが行うことも可能。地球上の異なる場所へ移動するには、一度「離陸」して宇宙空間から地球を動かし、目的地の上空で「着陸」を実行する。
「宇宙空間モード」では、ターゲットとなる物体を指定して、画面中央にターゲットを捉えながら視点を移動したり、ターゲットの距離(スケール)を変更したりすることが可能。画面上には惑星や宇宙探査機、有名な恒星や星団などの名前が表示され、ダブルクリックすれば画面中央に移動する。
視点はマウスの左ボタンドラッグやカーソルキーを使い、自由に移動させることが可能。表示範囲(あるいは対象物との距離)を変更するには、マウス(ホイールや右ドラッグ)やキーボード(【PageUp】/【PageDn】)のほか、「スケール」メニューや画面右下隅のポイントで表示される「+」「−」ボタンも使用できる。
「スケール」メニューは最短1,000万km、最長100億光年の間の17段階から選択できる。選択した距離に視点が設定されるのではなく、スケールで指定した範囲を画面上の視野に収められるところに視点が置かれる仕組み。スケールを示す目安として円と四角のスケール線を表示させることができる。なお、「宇宙空間モード」の状態で惑星や衛星の地表に極めて接近した場合、地形データがダウンロードされていれば、地形をリアルな写真で表現したり、「地表探査モード」で移動したりすることが可能だ。
時間の移動には、画面右上隅のポイントで表示される「+」「−」ボタンを使用する。移動単位は10秒、1分、10分、1時間、4時間、1日、1週間、1ヵ月、1年、10年、100年から選べる。日時を直接指定したり、実際の時間(パソコンの内蔵クロック)に合わせたりすることも可能だ。
画面を操作して表示範囲を移動させるほかにも、メインメニューの「ターゲット」で目標の天体を直接指定したり、「プリセット」から選択したりすることもできる。
ターゲットには太陽系内の惑星、衛星、小惑星、太陽系外縁天体に加え、
- 恒星:アルファ・ケンタウリ、シリウス、すばる、カストル
- 銀河系内天体:いて座A*、球状星団M13、銀河系中心
- 銀河系外天体:アンドロメダ銀河、おとめ座銀河団
- 探査機:パイオニア10号、パイオニア11号、ボイジャー1号、ボイジャー2号、カッシーニ、ニュー・ホライズンズ、ガリレオ、はやぶさ2、あかつき
といった恒星や銀河系外天体なども含まれる。これらのターゲットでは、近くの視点へ簡単に移動できるコマンドが用意されている。さらに「プリセット」メニューには、- 探査機「ニュー・ホライズンズ」の冥王星接近
- 「はやぶさ2」の地球スイングバイ
- 「あかつき」の金星周回軌道再投入
- 銀河系中心の巨大ブラックホール
- 宇宙空間から見た2009年7月22日の日食
- 2016年3月9日の部分日食(日本・東京)
- 2016年3月9日の皆既日食(インドネシア・テルナテ島)
といったシチュエーションが登録されている。天体は「惑星」「小惑星」「恒星」といったカテゴリーごとに表示オプションが用意され、表示自体のON/OFFを切り替えられるほか、名前や軌道、星座名、星座線などの表示も選択できる。惑星では大気や雲、月明かりなどを表示させることも可能。恒星では輝度を調整したり、連星や系外惑星を持つ星にマークを付けたりすることもできる。
画面の表示では標準モードのほか、立体視用のモードや全天周映像のための「ドームマスター(魚眼投影)モード」も搭載。立体視では3Dメガネを使用する「アナグリフモード(モノクロとカラー)」や立体視対応テレビ用の左右分割、上下分割を選ぶことができ、さらに複数台のパソコンを同期させて立体視投影することも可能だ(ネットワーク設定や投影設備に応じた設定が必要)。
操作にはマウスやキーボードに加え、ゲームコントローラを使用できる。表示範囲をキャプチャし、静止画像(BMP/JPEG/PNG)として保存することも可能。キーボードやゲームコントローラを使用する場合は、画面上にメニューをポップアップ表示させる「スクリーンメニュー」も使用できる。スクリーンメニュー専用の機能として、天体の写真やスケールを比較した3Dチャートの表示、ムービーファイルの再生などがある。