MPEG-1/2、H.264/AVCに加え、新たに次世代の映像形式「H.265/HEVC」にも対応した“定番”動画カッティングソフト「TMPGEnc MPEG Smart Renderer」の新バージョン。「TMPGEnc MPEG Smart Renderer」は、MPEG形式に特化した高速動画カッティングソフト。定評のある高い操作性と軽快な動作はそのままに、新バージョン「5」では、新たに次世代動画コーデック「H.265/HEVC」に対応。不要な再エンコードは行わず、可能な限り無劣化で出力する「スマートレンダリング」により、高速なファイル出力を実現する。64bitアーキテクチャにネイティブ対応した。
新バージョン「5」では「高速かつスムーズな動画編集の実現」という動画編集ソフトの原点に立ち返り、内部処理が一から見直された。編集時の作業効率向上の要となる動画シークの方法や動画クリップ時の操作手順の見直しなど、さまざまな変更が加えられている。
さらに64bitにネイティブ対応し、64bit OS専用ソフトとなった。32bit版Windowsでは動作しなくなったが、64bitネイティブコードになったことで豊富なメモリを使用できるようになり、プログラムの動作効率が向上。H.265/HEVCのような負荷の高いコーデックを利用する際や、4K/8Kといった高解像度の動画編集を行った際でもストレスなく編集を行えるようになっている。
ビデオクリップのカット位置の指定方法は、基本的に従来バージョンを踏襲したもの。MPEGでは、多くの動画編集ソフトがGOP単位でのカットしかできないのに対し、「TMPGEnc MPEG Smart Renderer 5」では1フレーム単位でカットを行える。スクロールバーで動画クリップ内のカット位置を検索する操作はきわめて軽快。フレーム画像の変化からシーンの変わり目を自動検出する機能も精度が高く、作業効率を向上させてくれる。
フレーム画像の切り替わりや音声の切り替わりなど、複数の要素をキーとして映像素材に含まれるCMを検出し、当該範囲を自動的かつ高速に指定できる「CM候補検出」機能も搭載する。検出されたCM候補は「一括カット」機能により、すべてを一気に削除することができる。
カット編集では、単一の動画ソースから複数のクリップを選び出して連結するシングルソースのカット編集と、複数のソースから動画クリップを取り出して連結するマルチソースの結合編集のいずれにも対応する。シングルソースのカット編集であれば、すべてのカットは同一の動画形式となるため、再エンコードの範囲はカット同士の接合点近傍のみとなり、高速にファイル出力できる。
一方、マルチソースの結合編集では、元となるファイル形式やエンコードパラメータによっては、ファイル同士を連結するスマートレンダリングを利用できないこともある。「TMPGEnc MPEG Smart Renderer 5」では、マスター動画とは異なる形式のカットを、マスター動画と同様の形式で再エンコードする「レスキュークリップ」機能を搭載。高画質でスムーズに連結できる。
エンコードエンジンは、MPEG-1/2では「TMPGEnc」シリーズのオリジナルエンコードエンジンが使われる。H.264/AVCでは「x264」が、またH.265/HEVCでは「x265」と、いずれも“業界標準”ともいえるエンコードエンジンが採用されている。オーディオでは、AACオーディオ用として「Fraunhofer IIS」を使用する。
MPEG動画にはさまざまコンテナ形式がある。「TMPGEnc MPEG Smart Renderer 5」では、MP4、TS、MXF、FMV、MKVといった代表的な形式に加え、新たにMXFコンテナの入力にも対応。さらに、ISO形式ファイルからの動画読み込みにも対応し、対応する形式の動画が記録されたメディアのISOファイルがあれば、特別なマウントソフトなどを使用しなくても、動画として読み込むことができる。
編集作業をさらに軽減化する「プロダクションツール」を使えば、指定されたフォルダに追加される動画ファイルを常時監視することも可能。動画データがディスクにコピーされるたびに、「CM候補検出」や「シーク用インデックス作成」などが自動的に実行され、編集を行う準備を完全自動で行うことが可能だ。
出力では「Blu-ray向け」「AVCHD向け」「XAVC S向け」といった標準規格に対応した形式でのファイル出力も行える。さらにBlu-rayではオーサリング機能も搭載し、BD-R/REディスクへ直接書き出し、市販のBlu-rayレコーダ/プレイヤーで再生することもできる。