豊富な立ち絵は、表情やポーズ、ファッションなどが細かく描き分けられ、キャラの表情を見ているだけでも楽しくなってくる。大きな事件や奇抜な展開はなく、地に足のついた日常的なストーリーが綴られてゆくのがよい。基本“色気より食い気”で“思い立ったら一直線”というタイプの主人公の、ちょっと不器用な恋愛模様が無理のない展開で描かれてゆく(現実ではそれって絶対に周りに人がいるだろう的な突っ込みが多少入るのはご愛敬)。登場するキャラも全員、実際にいそうな等身大の姿で描かれている。攻略対象のキャラが、生意気な年下の少年、同い年の好青年、ずっと年上の大人の男性とバラエティに富んでいるのも楽しい。晴子自身の心の動きも、付き合っている相手の年齢によって大きく変わってくる。そのあたりが自然に描かれていたのもよかった。
攻略ルートが物語の序盤で確定されるので、主人公がふらふらと相手を変えることがないのも、個人的には好感が持てた。エンディングの数そのものはキャラごとに二つずつだが、トゥルーエンドには二種類があり、実質的なエンディングは三つずつ。見落とさないように注意したい。さらに隠しルートも用意されている。
(秋山 俊)