独自の高音質化技術(バグヘッド技術)を採用した音楽再生ソフト。録音状態が良好であれば、圧縮形式でもCD以上の音質を再現できる。「Bug head Emperor」は、高精度サウンドエンジンを搭載し、従来にはない高音質をパソコンで実現する音楽再生ソフト。独自のアルゴリズムによるアップサンプリングと、WASAPI/ASIO 2ドライバに対応したDAC(デジタル→アナログコンバータ)を使用し、最高384.0kHzというハイサンプリングレートによる音楽再生を可能にする。“視力が衰えても使えるようなデザイン”が印象的。
高音質再生の“肝”は、
- 元データの2/4/8倍というサンプリング周波数によるアップコンバート機能
- 音響処理技術を搭載した、作者独自開発によるサウンドエンジン
サウンドエンジンには“DACの結果ではなく、空気中の音波の状態を考えた”独自開発のアルゴリズムを採用。従来の、主に電気的な波形の再現に重点を置いたアップコンバートや、単なるエフェクトとは一線を画す「リマスタリング」とでもいうべき音響加工を実現している。MP3/M4Aなど、圧縮形式での音質改善効果は特に大きく、場合によっては元のCDの音質を“印象で上回る”ほどの音質を達成することもあるという。演算は擬似的な128bitで行われる。アップサンプリングのレートは元データの整数倍に限定され、元データが44.1kHzであれば88.2kHz、176.4kHz、352.8kHzが、また48.0kHzのデータであれば96.0kHzか192.0kHz、384.0kHzのデータが生成される。アップサンプリングは行わず、原音の周波数のままで高音質化だけを行って再生することも可能だ。
音響処理アルゴリズムは複数が用意されている。個々のアルゴリズム(サウンドモード)には「Green」「Red」など、色による名称がつけられ(一部、別系統の名称もある)、各アルゴリズムには、さらにいくつかのバリエーションがある。アップサンプリング倍率ごとに利用できるアルゴリズムには多少の違いもある。「どの名称のアルゴリズムがどのような効果をもたらすか」は明らかでなく、実際に聴いてみないとわからない。好みの音質を見つけ出す楽しみがある。「Self sound optimizer」と呼ばれるカスタマイズ機能も用意されている。
アップサンプリングや音響処理は基本的にリアルタイムで行われるが、アップサンプリングの倍率や処理の種類によっては、かなりのCPUパワーが必要とされる。基本的なモード(BASIC)ではそれほどでもないが、高度な加工を行う場合には、Core i5/i7といったかなり高性能なCPUが要求される。
ハイビットレートのデータは、Windows標準の機能では再生が難しい。「Bug head Emperor」では、Windows Vista以降のサウンドドライバの標準仕様「WASAPI」に対応するほか、高音質再生時の“定番”ドライバともいえる「ASIO」にも対応する(本来の実力を発揮するには、ASIOドライバに対応したUSB-DACなどのサウンド再生ハードウェアと組み合わせて使うのがよい。逆にいえば、そうしたハードウェアを持っているのであれば、それらを使って高音質なサウンドを再生するためのソフトウェアとしての有力候補が「Bug head Emperor」ということになる)。
再生機能では、ドラッグ&ドロップによるファイル追加やフォルダ内ファイルの一括追加、プレイリストのソートやランダム再生などに対応。インタフェースにはグラフィカルな要素はあまりなく、ボタン類なども英語表示だが、使い方は難しくない。