本文では「XDIR4」を「ファイラ」として紹介した。なるほど画面構成や操作性、機能という点では、MS-DOS時代に数多く存在したファイラそのものだ。しかし、そのファイラがWindowsに対応し、メタデータの付加機能が追加された結果、「XDIR4」はファイラでありながらファイラでない「一歩進んだソフト」になった。単純にファイラとして見た場合、エクスプローラなどのグラフィックが多用されたソフトと比較すると、微妙なところもある。キーボードだけでほとんどの操作を行うことができ、レスポンスもよいが、例えばファイルの移動やコピーなどを、アイコンのドラッグ&ドロップで行えるアプリケーションと比べれば、やはり手間はかかる。
しかし、その旧時代のファイラが、ツリー構造のデータを仮想的に作成でき、しかも個々のノードにメタデータによってほかの情報を含められるようになると、いきなり「新しい発想のソフト」に化けてしまう。テキスト、画像、動画など、さまざまなデータをツリーという論理構造の中に収め、合理的にブラウズできる。古臭かったはずのファイラが、こんなにも実用的に使えるさまを見ると、やはり「ソフトにとって最も大切なのはアイデアなのだ」と感じずにはいられない。
(天野 司)