パソコンに搭載されたメモリ(RAM)は電気的に読み書きを行うため、ディスクの回転やヘッドの移動といった物理的な動作を必要とするハードディスクに比べると、はるかに高速な処理が可能だ。これを利用し、RAMの一部をハードディスクに見せかけて使おうというのが「SoftPerfect RAM Disk」だ。Windowsが使用する一時ファイルやかな漢字変換用の辞書といった、頻繁にアクセスするファイルをRAMディスク上に置いておくことで、ハードディスクで読み書きするのに比べて大幅に高速化されるだけでなく、消費電力の低減、静粛性の向上、温度上昇や劣化の抑制といった恩恵も得られる。
RAMディスクには「パソコンの電源を切ると内容が消えてしまう」という特徴もあるわけだが、これに対する「SoftPerfect RAM Disk」の回答は「イメージファイルのマウントおよび自動保存」だ。これにより、RAMディスクの使用開始時に「まず、作業に必要なファイルをコピーし、パソコン終了前にはRAMディスクの内容をハードディスクに書き出しておく」という手間を省ける。また、RAMディスクを一時ファイル用としてのみ使用するような場合、自動保存オプションを使わなければ、毎回内容が消えてしまうため、むしろ無駄なファイルを残さずにすむというメリットにもなる。
このように「ユーザに応じてさまざまな使い方ができる」ところが「SoftPerfect RAM Disk」の魅力のひとつだ。ふだんは複数のRAMディスクを使いながら、大きなアプリケーションを動かすときは一部のマウントを解除し、RAM本来の用途に割り当てるといったことも可能だ。
使いこなしの上でややわかりにくいのは、「ログオン時マウント」と「ブート時マウント」の違いだが、ツールバーのボタンでRAMディスクを新規作成する場合はブート時マウントになるので、普通はこちらを選べばよいということだろう。ブート時マウントでは、「SoftPerfect RAM Disk」を終了した場合もそのまま利用できるのに対し、ログオン時マウントにした場合は、ソフトを終了すると同時にマウントが解除される。
そのほかには、イメージファイルのマウント/解除もややわかりにくいというか、勘違いしそうな機能なので、ついでに補足しておこう。これは文字通り、作成したイメージファイルをドライブとしてマウント/解除するものだが、RAMディスクではなく、通常の仮想ドライブとしてマウントされるところが違う。メイン画面のリストに表示されるのはあくまでRAMディスクなので、通常の仮想ドライブとしてマウントしてもここには現れないが、エクスプローラなどでは仮想ドライブとしてアクセスできる(ソフトを終了しても、マウントは解除されない)。要するに、RAMディスクに加え、通常の仮想ドライブ管理用としても使える、二重にお得なソフトというわけだ。
(福住 護)