資料を整理するだけでなく、論文作成の手間も軽減してくれる、ありがたいソフト。ワードプロセッサに目次や脚注の自動生成機能が搭載されるようになって久しいが、「QRef」はちょうど同じような感覚で、引用という手間のかかりそうな作業を自動化してくれる。ソフト単体では、資料の管理と検索のみを行い、引用情報を作成するには論文を執筆するためのワープロが必要となる。当然のことながら、ふだん使い慣れているワープロがそのまま使えるので心配はない。ワープロ独自の文書形式ではなく、リッチテキストやHTML、TeXで保存しておかなければならないが、このような専門分野のソフトを必要とする人にとっては、大して問題ではないだろう。
いかにも研究者向けらしく、引用の仕方を投稿先の様式に合わせてカスタマイズするようになっていたり、文献データの入力も「編者名を入力する場合」「著者が個人でなく、組織の場合」「文字を装飾する場合」など、さまざまな記述方法があったりするので、こうした点が使いこなしのポイントになりそうだ。
引用という特殊な機能のせいで研究者向けの印象が強いものの、文字情報やファイル情報を管理するという点では一般ユーザとも無縁ではない。ニュース記事のスクラップやファイル管理用としての使い方を考えてみるのもよいのではないだろうか。
(福住 護)