文献管理ソフトウェアとして、「Ref for Windows」を長年にわたって公開してきました。このたびNokiaより無料で公開されているクロスプラットフォーム開発フレームワークの「Qt」が非常に充実してきたことに注目し、新たな文献管理ソフトウェアとして全体を書き換えました。「Qt」を用いると、ひとつのソースコードでWindows、OS X、Linuxのプログラムを完成度の高いレベルで作成することが可能となります。「Qt」による開発はきわめて順調で、全体として約1年で現在のバージョンとなり、機能も安定したので、Vectorで公開させていただくこととしました。
名称は「Qt」と「Ref for Windows」から「QRef」としました。注意したことは、「Ref for Windows」を利用して来られた方々のデータがそのまま生かされることと、プラットフォームが変わっても、何の問題もなく利用できるということでした。「QRef」では、細かい点を除けば、「Ref for Windows(Ref 2000)」のデータはそのまま移行でき、またそれぞれのプラットフォームで作成したデータは相互に無変換で読み書きが可能となります。「Ref for Windows」とは異なり、直接イタリックや上付き文字を表示・編集でき、リンク機能が強化され、正規表現による検索を可能にするなど、さまざまな改善を加えています。
「QRef」はフリーのソフトウェアであり、必要なすべてのソースコードも公開しています。これから論文を執筆しようと考えている方々──特に若手の研究者──に利用していただければありがたいと思います。今後もユーザのみなさまのご意見を参考にして、バージョンアップを続けてまいります。
(山本 拙造)