学術論文や著作などの資料を効率よく収集し、検索・利用するための文献管理ソフト。「QRef」は、インターネット上で公開されている論文を効率よく収集し、検索や論文執筆時の引用を効率化・簡略化するためのソフト。インターネット上の文献データベースからダウンロードした情報をプラグイン(DLLファイル)を使ってインポートできる(現在利用可能なプラグインは、PubMedやJOISなど12種類。詳細はhttp://members3.jcom.home.ne.jp/qref/html/dbfiles.htmに掲載されている)。Windows版のほか、OS X版、Linux版もあり、プラットフォームに関係なく、同一の文献データを検索できる。
データを登録するには、最初に空のデータベースファイルを作成する。作成するデータファイルの名前、保存先フォルダを指定できるほか、インデックスは「著者名」「キイワード」「重複確認のためのキイ」から選択・設定できる。
1件分の文献情報(レコード)は、ID番号、登録日、著者、題名、出典、年度、キーワード、コメントなどのフィールドで構成される。Groupは、文献の内容からJournal、Chapter、Book、Presentationなどから選択できるようになっている。
レコード入力画面(ドッキング可能なウィンドウとして表示される)のツールバーには、(元に)戻す、再実行などの編集用のボタンをはじめ、ID番号の入力やレコード内での文字列検索、リンク先のURL一覧、文字コード表の表示、学術雑誌名を検索するための辞書、医学・生物学系文献データベース「PubMed」と連携するためのボタンなどが用意されている。リンクされた外部ファイルやWebページのURLを表示させるボタンもある。
論文(またはそのコピー)を管理したい場合は、登録したレコードのID番号を論文側にも書き込んでおけばよい。
登録したデータは、メイン画面上に著者、年度、題名の一覧として表示される(表示項目はカスタマイズすることも可能)。レコードを直接ダブルクリックするか、選択して【Enter】キーを押すと、レコードの内容が表示される。
レコードは、IDや番号を指定してジャンプできるほか、リストで選択した複数のレコードに対し、一括でフィールドの内容を入れ替えたり、文字列を書き込んだりすることもできる。
文字列検索は、対象となる項目(フィールド)や論理演算子を指定して行えるほか、単語単位の検索や正規表現、前回検索結果からの絞り込みなども行える。検索の履歴は過去16回分までが記録される。インデックスを用いた検索や、複数ファイル(文献リスト)を対象とした検索、差異部分の抽出なども可能だ。
大きな特徴は、文献の管理・検索を行えるだけでなく、「論文作成に必要な文献引用の作業を自動化してくれる」こと。リストで論文を選択して「レコードを送る」を実行すると、レコードの内容全体がクリップボードに転送され、アプリケーションに貼り付けることができる。同様に、引用した文献の番号のみをクリップボードに転送したり、著者名、年度などの情報も含めて転送したりすることも可能。転送する情報の書式は5種類から選択できる。
執筆している論文に文献番号を書き込んでおくと、「引用文献リスト作成」機能により、引用文献の情報を自動的に論文に挿入してくれる。「引用文献リスト作成」では、まず論文の投稿先の規定に応じた書式を登録する。書式はインポート/エクスポート、コピーが可能。さらに文献リストの整列の有無や、引用時に番号と著者名のどちらを使うかなどを指定しておく。
続いて、論文が保存されているフォルダを指定すると、論文ファイルが一覧示され、論文ファイルを選択すると、あらかじめ書き込んでおいた文献番号にもとづいて、引用情報が書き加えられたファイルが新たに生成される仕組み。原稿となる論文のファイルは、テキスト、RTF、HTML、TeX形式に対応。文字コードはShift JIS、ASCII、UTF-8、UTF-8(with BOM)、UTF-16、UTF-16(with BOM)、EUCから選択・指定できる。
文献リストは、現在のレコード、選択したレコード、レコード全体のいずれかでエクスポートすることが可能。指定した書式のテキストファイルを出力できるほか、「データ転送用」としてCSV形式やタブ区切り形式のファイルなどで出力することも可能。出力するフィールドや並び順も指定できる。
そのほか、データファイルのチェックやリストの消去、バックアップ、インデックスの再構成、重複レコードの確認といったデータベースのメンテナンスに関する機能を搭載する。