ゲーム序盤は、グラフィックが美しく、主要キャラの服装などのデザインは凝っているものの、比較的地味で、ありきたりな作品に感じられた。主人公とヒロインをはじめとした登場人物の性格や言動などもアクの強さがなく、おとなしくて控えめな印象だった。このまま“丁寧に作られて、おもしろいものの、ちょっと物足りない”雰囲気で進んでゆくのかと思っていたところ、中盤あたりからどんどん物語が動き出し、グイグイと引き込まれた。先の展開がまったく読めず、「主人公とヒロインがどうなるのか」「どういう決着を迎えるのか」が気になって仕方ない。そのほかのキャラクタも丁寧な描写の積み重ねにより、非常に魅力的で、気になるキャラクタへと成長してゆく。ちょっと地味だが、とてもよくできたシナリオだ。
戦闘ではモンスターのデザインやエフェクトなどが美しい。主人公たちのHP/SPが大きく、スキルをバンバン連発して戦うことができるのも爽快。戦闘の難易度は低めで、ボスキャラとの戦闘以外ではピンチになることはまずない。ダンジョンも短めかつシンプルなので、マップを描かなくても迷うことはない。
堅実で、丁寧な作りが印象的。RPG好きの方に強くお勧めしたい良作だ。
(秋山 俊)