ストーリー重視の異世界ファンタジーRPG。丁寧に描き込まれた、魅力的なキャラクタが数多く登場する。女神から神子とその守護者に任命された二人を中心に展開する物語
「徒花の守護者」は、プレイヤーを飽きさせない、波乱に満ちたストーリーが紡がれる異世界ファンタジーRPG。中盤以降は物語が大きく動き、先の読めない展開が連続する。ゲーム内での選択により、3種類の通常エンドと2種類の隠しエンドに分岐するマルチシナリオとなっている。
物語は「プレセリアンド」と呼ばれる王国の一角の、国内で最も人口の少ない村「シスタ」からはじまる。何もない田舎の村だが、聖水の濃度が高く、強力な結界に守られている。ほかの地とは異なり、魔物などが出現することもなく、村人は平和に暮らしていた。ところがある晩、教会の一人娘「ファティ」が女神「マードリー」と出会ったときから事態は動き出す。
この世界には、いつからいるのかわからない「ロア」という闇の存在があった。人間に取り憑いて魂を奪い、そのまま殺してしまうものとして恐れられていた。ちょうど千年前、ロアと人間との間で大規模な戦争が勃発した。圧倒的な数を誇るロアの前に人間は太刀打ちできず、追い詰められてしまう。だが、マードリーが「アルカス」という花にロアの大半を封印したことで、危機は回避される。強大だったロアは一気に勢力を失い、封印を逃れたロアも力を失って、聖水の結界を張るだけで防げるようになった。
ところがマードリーは「アルカスが力を失い、すでに枯れかけてしまっている」という。実際に、弱ったアルカスの封印を破って、ロアが外界に復活し、数を増やしつつあった。ロアの脅威を取り除くには、ファティが神子となり、プレセリアンドの五精霊から浄化を受けて、アルカスに復活の祝福を与えなくてはならない……。
じっくりと丁寧に描かれたキャラの言動が魅力
ゲームの主人公は、記憶喪失の青年「リヴェル」。1ヵ月前、森で倒れているところを発見され、そのままシスタ村に住みついた。ファティと仲がよく、マードリーと出会ったときも、ファティに引っ張り回されて一緒にいた。マードリーからは神子を守る守護者に任命される。神力を備え、戦おうと思っただけで、何もない空間から剣を呼び出すことができる。
ヒロインの「ファティ」は教会の一人娘で、村のアイドル的存在の美少女。赤ん坊のとき、教会の前に置き去りにされていたところを、村の唯一の神父「ヒルズ」に拾われ、養女となる。少しおてんばで明るい性格だが、自分の失敗を人に知られるのが嫌で、隠そうとするところもある。
「ベルガ」は、王都「グランデ」からシスタ村に移り住んできた、腕のよい魔法符師。面倒見のよい姉御肌の女性で、リヴェルたちの旅に同行する。うっかりしたところがあり、肝心なときにミスをしてしまうこともある。
「シリア」は、リヴェルと瓜二つの顔を持つ謎の青年。ファティとリヴェルが「シルフ」という町に出かけたときに偶然出会い、知り合う。非常に気まぐれで、周囲の人間を振り回すことが多い。一度信用した相手には割と甘いが、シュラとは相容れないらしく、頻繁に口喧嘩をしている。
「シュラ」は、シリアの同行者。ただし、シリアとは犬猿の仲で、意見が一致することはほとんどない。燃えるような髪色と眼帯が特徴。
そのほかにも多数の魅力的なキャラクタが登場し、物語を彩る。
豊富に用意されたスキルのエフェクトが美しい
ゲームの内容は、オーソドックスな異世界ファンタジーRPG。ストーリーの進展に応じて各地を移動し、新たなキャラクタと出会ったり、ダンジョンでモンスターと戦ったりして、シナリオを進めてゆく。町の住人との会話で発生するサブイベントなども用意されている。時折、選択肢が表示されることがあり、プレイヤーの選択でエンディングが分岐する。セーブはいつでも行うことが可能。計15ファイルまでセーブできる。
モンスターとの遭遇は、一部を除いてランダムエンカウント方式。戦闘は、サイドビューのリアルタイム方式で行われる。敵味方とも全キャラクタにバトルタイムゲージが用意され、ゲージが満タンになったキャラから行動を起こすことができる。リヴェルはすばやさが高く、多くの場合、敵が1回行動する間に2回行動できたりする。
戦闘中の行動は「攻撃」「スキル」「防御」「アイテム」の4種類。「攻撃」は、装備した武器を使う通常攻撃。(威力はそれほどでもないが)SPを消費することなく、繰り出せる。「スキル」は、SPを消費することで、より強力な攻撃や回復、防御力の強化などを行うことが可能。「アイテム」では、攻撃アイテムや回復アイテムなどを使用できる。
戦闘中の各キャラクタの動作なども細かく作り込まれている。スキルの数は豊富。エフェクトも美しく、戦闘は楽しい。