ソフトを開発しようと思った動機、背景
2年ほど前に家を建てたのですが、その際、住宅ローンをどこで借りるか決めるために、銀行やいろいろな金融機関を回って、返済シミュレーションを出してもらったりしました。が、驚いたことに条件設定の自由度はほとんどなく、金利は固定なんて当たり前。おまけに数十年分の返済シミュレーションを紙に何ページもプリントアウトして持ってくるのです。しかも条件を変えるたびに、別部屋のパソコンに戻ってプリントし直しする始末(笑)。当然、金利の変動はほとんど考慮できませんし、繰り上げ返済もじっくりと検討できません。なんて時代錯誤で非エコな業界なんだろうと驚きました。大手の銀行は特にこの傾向が強かったです。これでは「利率が変動しても、無理なく返済できる借入額はどれくらいか」など、現実的な条件でのローンシミュレーションができません。そこで、住宅ローンのシミュレーションができるフリーソフトやシェアウェアを探してみたのですが、世の中に出回っている住宅ローンソフトはほとんどがExcelマクロで作られていて、あまり柔軟な設定ができないことがわかりました。
自分がほしかったのは、利率を任意の時点で変更してみて、例えば「徐々に利率が上昇しても、自分に返済能力があるかどうか」を調べたり、「複数回の繰り上げ返済を試してみて、繰り上げ効果はどれくらいか」などを調べたり、期間短縮か返済額軽減の繰り上げ返済をシミュレートしたりできるソフトだったのですが、残念ながらそこまで自由に条件を設定できるソフトはありませんでした。「じゃあ、自分で作ってしまおう」と、いつもの調子で作ったのが、この「Let's住宅ローン計算」です。
開発中に苦労した点
ローンに関してはほとんど素人だったので、ローンのイロハから勉強する必要があり、それが一番大変でした。何だかんだいって半月くらいは勉強しましたね。おかげで金融機関のローン担当の人に惑わされないくらい、ローンの知識がつきました(^^。ただし、いったんソフトの構想ができてからは速かったですね。私の別の作品である「Let's家計簿」のプログラムコードをずいぶんと流用することができたので、ソフト開発自体は1週間程度だったと思います。多分、ヘルプドキュメントの方が時間がかかっていると思います(笑)。
ユーザにお勧めする使い方
「Let's住宅ローン計算」の最大のウリは「利率の変更や繰り上げ返済を、期間中のどこにでも、何回でも表に入力可能なこと」です。入力した結果は即座に表とグラフに反映されますので、使いやすい上に視覚的にもわかりやすいです。繰り上げ返済も期間短縮タイプと返済額軽減タイプを混ぜることもできます。繰り上げ返済を行った場合と行わない場合の比較も容易にできますので、シミュレーションが非常に楽です。また、ご自分の年齢や収入レベル、現在支払っている賃貸料から、無理のない借入額を計算する機能もありますので、ぜひこのソフトを活用して、ご自分に合った住宅ローンを設計してみてください。
さらに、このソフトにはおまけ機能がいくつかあって、その中でも繰り上げ返済最適化ツールは、ほかのソフトにはない機能のひとつです。多くの方は短期・長期のローンを組み合わせていらっしゃると思いますが、この機能を使うと、返済額が最も少なくなるような返済パターンを見つけてくれます。この機能をフルに使えるのは「Let's家計簿」のユーザの方のみなのですが、そうでない場合でも「よりお得な繰り上げ返済パターンがあるかどうか」「どれくらい返済総額を少なくできるか」だけは計算して表示してくれますので、ぜひ試してみてください。
今後のバージョンアップ予定
ローンの世界はいろいろと複雑で、特別ルールがいくつもあったりするので、そのあたりの制度にも対応してゆきたいと思います。また、このソフトは「Delphi」という開発ツールを使って作成しているのですが、開発元のエンバカデロ・テクノロジーズさんがつい最近リリースした最新版の「Delphi XE2」で、ついにMac OS XやiOSで動作するソフトも作れるようになりました。いつかMac版、iPad版も作ってみたいなと思っています。ただいま勉強中です。(^^
(hamface)