パソコン上で地図を表示するデジタル地図ソフトには、「スーパーマップル・デジタル」シリーズのように、データをあらかじめパソコンのハードディスク内に格納しておくインストール型と、ユーザからの要求に応じて随時インターネットからデータを取得するネット配信型とがある。あえて特徴を説明するまでもないだろうが、インストール型のメリットは、すべてのデータをあらかじめローカルのハードディスク上に持っているため、ネットワーク転送が不要で、高速な表示が可能なこと、ネットワークに接続できない環境でも利用可能なこと、豊富な情報量を利用できることなどが挙げられる。一方、ネット配信型は、(情報量が少ないこともあって)比較的安価か、Googleマップのように無料で利用できるというメリットがある。
どちらがよいかは、ユーザがどのような環境で地図を利用するのか、あるいはどれだけの情報を必要とするのかによって異なる。ブロードバンドを利用可能な状況ではネット配信型でも十分な場合もあるだろうし、屋外や外出先などで高速なデータ通信が期待できない環境では、ネット接続の速度に影響を受けないインストール型の方が有利だ。ブロードバンド環境下であっても、好みに応じて表示形式を変更したり、自分なりの情報を書き込んだり、多彩な地図スタイルで見たかったりする場合には、やはりインストール型となる。
インストール型で問題となるのはソフトの価格だろう。この点、「スーパーマップル・デジタル12 DL」のアプローチはうれしい。詳細情報を持つ地域を限定することで、パッケージ版に比べて価格が大幅に下げられている。地図を利用する人でも、住所情報や建物の形状、小道の配置といった詳細な情報を全国規模で必要とする人はそう多くない。たいていの人は、自分が住んでいる地域や行動範囲をカバーできれば十分なものだ。詳細地図をインストールしていない地域であっても、地図が表示できないというわけではなく、小域地図情報は利用できるのだから。
そう考えると「スーパーマップル・デジタル12 DL」は、インストール型のいいところとネット配信型のいいところの双方を兼ね備えた地図ソフトといってよい。いつでもどこでも(ネット配信型では得られないような)詳細な地図情報を手軽に利用できる地図ソフトとして、非常に魅力的だ。
(天野 司)