パソコンを使用していないときに主要な機能を停止し、消費電力を抑える「スリープ」は、電源を落とす「シャットダウン」に比べると、必要があればすぐさまパソコンを再開し、続きの作業を行えるという意味で利便性が高い。使用しているときと、していないときに波があるような使い方がされているパソコンであれば、積極的に利用したい機能だ。ただし、Windows OS標準の「スリープ」は、機能がシンプルすぎて問題となることも多い。スクリーンセーバと同様、単純にマウスやキーボードが操作されない時間が一定以上になると、スリープに移行してしまうからだ。例えば、動画のエンコード中などのように「パソコンは操作していないが、作業は継続されている」のに、勝手にスリープ状態になってしまっては困る。
「SleepTool」であれば、こうした問題をスムーズに解決できる。「CPU負荷が高い場合や特定のエンコードプログラムが動作している間はスリープしない」といった設定を行えるからだ。DLNAサーバのように「主にほかのパソコンからネットワークでアクセスされるだけ」という場合も問題ない。「ネットワーク負荷を監視して、一定以上の負荷であればスリープしない」という設定にしておけば、サーバとして稼動している間は勝手にスリープしないようにできる。
パソコンの負荷や特定プロセス、ディスクの入出力、ネットワークなど、さまざまな項目で条件設定できるようになっているのは、パソコンの使用目的によってスリープに移行してもよいと考えられる条件がさまざまであるから。特に「詳細モード」では、条件ごとに個別に監視時間が設定できるのもよく考えられていると思う。
動画編集ソフトやエンコードソフトなどでは、「処理が終わったらスリープ」などのチェックボックスが付いていることも多いが、これは前述のように、Windowsの標準機能では意図しないタイミングで勝手にスリープ状態になってしまうことが多いからだ。しかし、個々のアプリケーションでこうした独自設定を行うよりは、「SleepTool」で一括設定できる方がはるかにスマート。節電しつつ、利便性も失わない。非常に便利なソフトだ。
(天野 司)