「じじばばーん」は、ものすごくユニークなキャラクタが悪党や魔物を相手に大活躍する、爽快で痛快無比、ギャグも満載のゲーム。RPGにとって魅力的なキャラクタとその会話、よく練られたシナリオがいかに重要であるかということをあらためて感じさせてくれる。おもしろい物語を心の底から楽しみたいという人にお勧めしたい。
物語の主人公は「山本じじお」と「山本ばばえ」のともに当年とって80歳の老夫婦。「じじお」は、基本的には常識人で大人しいキャラクタなのだが、「ばばえ」に対してだけは口が悪く、事あるごとに毒舌をはく。一方「ばばえ」は、とんでもなく短気で凶暴、その上ケチなくせに浪費家。こんな二人の生活は当然ケンカが絶えない。といっても決して夫婦仲が悪いわけではない。夫婦ゲンカは二人のレクリエーションみたいなもので、むしろ仲はよい。
もちろん二人の特徴はこれだけではない。二人揃ってとんでもなく強い。メチャクチャなくらい強いのだ。この二人にかかったら、普通の人間では絶対に敵わないはずの魔物も、ものの敵ではない。
それほどの強さを秘めているにもかかわらず、三人の孫が家を出て以来、二人は山奥の田舎町「イレーバ」でのんびりと平穏な隠居生活を送っていた。ところがある日、ばあさんの浪費のせいで生活費が底をついていることが判明する。困り果てた挙句、「これというのも年金の支給額が少ないせいだ!」と逆ギレしたばあさんは、国王に直接抗議することを決意する。かくして二人のスーパー老人の大活躍がはじまる。ストーリーが進むにつれて、家を出た三人の孫「アキラ」「ミク」「サトシ」との出会いもあり、そのうちの二人がパーティの仲間になる展開も用意されている。
ゲームの内容は、極々普通のRPG。グラフィックやシステムなどは、RPGツクールの素材やシステムがそのまま使われている。それでいながら、これが非常におもしろい。登場人物の生き生きとした描写とテンポよく展開されるストーリーで、グイグイと作品の中に引き込まれてゆく。
ゲームバランスもよい。普通にゲームをしながらランダムエンカウントにより出現したモンスターを倒しているだけで、必要な経験値や資金が自然とたまるよう調整されている。ゲームの要所要所には「回復ゾーン」と呼ばれる魔方陣が用意され、この上に乗るだけでHP/MPはもちろん、それ以外のパラメータも含めて全回復してくれるため、店で回復アイテムの類を買い揃えておく必要はほとんどない。どうしてもお金が必要な場合は、大きな街にある「闘技場」で戦って稼ぐこともできる。
それ以外にも、同じ場所の2回目以降の移動ではマップ上の移動をスキップできる仕掛けが必ず用意されているなど、純粋にシナリオを楽しめるような配慮が随所になされている。