“コンセプトアートや漫画、テクスチャを作成するために設計”された高機能ペイントソフト。なめらかなブラシストロークを実現する「手ブレ補正」など、多彩な機能を搭載する。「Krita」は、筆や鉛筆、エアブラシなど、現実に存在する画材を模したブラシを使い、ビットマップイメージのイラストを作成できる“2Dお絵描きアプリケーション”。標準で100種類以上のブラシを利用でき、さまざまなタッチの絵を描くことが可能。さらに、ブラシエンジンをカスタマイズしてブラシを自作したり、ほかのユーザが作成したブラシをインポートしたりすることもできる。「手ブレ補正」のほかにも、色とブラシをすばやく選択できる「ポップアップパレット」、テクスチャやパターンを簡単に作成できる「ラップアラウンドモード」など、便利な機能を数多く搭載。70以上の言語に対応するマルチリンガルソフトで、もちろん日本語で利用できる。
メイン画面は、濃いグレーが基調の“いま風”のペイントソフトらしい色使い(色調はテーマで変更することも可能)。画面左側のツールボックスで描画機能を選び、画面上部のツールバーで画材を選択して、描画してゆく。ツールボックスをはじめとしたドッキングパネルは、位置を移動させることも、フローティング状態にすることも可能。カスタマイズした“ワークスペース”は保存しておくことができる。
大きな特徴のひとつが、キャンバス上の右クリックで表示される「ポップアップパレット」。中央に色選択用のサークル、周囲には10個のブラシ選択アイコンが配置され、色とブラシの選択をスピーディに行うことができる。ブラシ選択用のアイコンは、ブラシの種類ごとに9グループに分類され、ポップアップパレット内のメニューから一括で切り替えられる。
好みのブラシを作成できるブラシカスタマイズ機能も出色の出来。「単にブラシ先の形状を定義できるだけ」といった簡易なものではなく、描画・変形に関する、およそ思いつく限りのすべてのパラメータを変更できる。「作成したブラシでどのように描画できるのか」がわかるよう、カスタマイズ用ダイアログにお試し描画エリアが用意されているのも便利。納得がゆくまでブラシをカスタマイズできる。
「手ブレ補正」も便利な機能。ペンタブレットはもちろん、マウスを使って描画する際にも、どうしてもマウスの軌跡がブレてしまい、なめらかな線を引くのは大変。手ブレ補正機能を使えば、多少の手ブレは自動的に補正され、なめらかな線にしてくれる。筆圧対応ペンタブレットの使用時にはもちろん、筆圧が検知される。
さらに「調整」「デザイン」「ぼかし」などに分類されたフィルタも数多く搭載。イラストの描画はもちろん、フォトレタッチなどにも応用できる。立体を描くときに便利な「パース」や、中心を指定して上下対称、左右対称、あるいは点対称のストロークを描画できる機能なども備える。
レイヤにも対応する。ペイントレイヤやフィルタレイヤなど、複数のレイヤ合わせたり、統合したりして、思い通りの描画を行える。
完成した作品は、独自のkritaドキュメント(*.kra)形式で保存できるほか、BMP/JPEG/PNG/TIFF/GIF/PSDなど、20以上の形式のファイルに出力することができる。