GPSログをもとに、移動ルートが記録されたマップを作成できる“Googleマップ/Google Earth活用ソフト”。写真や座標の入ったマーカーをマップ上に配置したり、標高や移動速度の変化などをチャート化して表示させたりすることが可能。「轍 Wadachi」は、GPS機器のログを取り込んで経路を描き、GoogleマップやGoogle Earthで表示可能なコンテンツを作成できるソフト。取り込んだGPSログとデジカメ写真内のジオタグ(GPS情報)から、撮影地点にマーカーを配置して写真を表示させたり、移動にともなう標高の変化が表されたプロフィールマップを作成したりできる。編集したデータにはGoogle Maps API V3対応のスクリプトが自動で埋め込まれ、GPSログを利用した旅の記録を誰でも簡単にインターネットで公開することが可能。Ver.4では、GPSログがなくても、マップ上のクリックで経路を作成できるようになった。
スマートフォンのGPS対応アプリやGPS機能付きサイクルコンピュータなどのGPSロガーで記録されたファイルを「轍 Wadachi」へインポートし、出力設定でマップの表示サイズやズームレベルなどのオプションを指定して、「ブラウザでプレビュー」を実行すれば、ローカルパソコンのWebブラウザでプレビューできる仕組み。
データを公開するには、エクスポート機能を使ってHTMLファイルを出力する。このときGoogleマップでの表示に必要なスクリプト類も同時に生成されるので、それらをまとめてWebサーバにアップロードすればよい。さらに、GPSログを写真付きで地図上に表示・共有するサービス「轍 ONLINE」へ直接アップロードしたり、Google Earth用のKML/KMZファイル、汎用のGPXファイルにエクスポートしたりすることも可能。「轍 Wadachi」自身のデータファイルは独自のWDF形式で保存する。
インポートしたGPSログには、GPSの精度によって誤差が含まれている場合がある。内蔵のトラックエディタを使って、座標や高度・日時などを修正したり、ノイズフィルタ機能を使って、誤った情報(明らかに移動速度がおかしい部分など)を簡単に除去したりすることもできる。
停止中にも記録されている情報をひとつにまとめたり、ムダなデータを省いたりすることにより、ログファイル自体のサイズをコンパクト化して、マップ表示の高速化を図ることも可能。国土地理院のデータを利用して、GPSの高度誤差をワンタッチで修正する機能も備えている。
Ver.4では新機能として、GPSログがなくてもマップ上でポイントをクリックしてゆくだけで経路を作成できるようになった。トラック作成機能には「自動探索」「直線」「登山道」の三つがあり、このうち「自動探索」を使うと、実際の道路に沿った経路が自動で作成される。ルート探索のオプションとして、移動手段(自動車、徒歩)や、高速道路・有料道路・フェリーの使用などを指定もできる。
GPS情報(ジオタグ)が記録されたデジカメ写真があれば、ファイルを追加するだけでマップ上に自動でプロットしてくれる。逆にジオタグが含まれない画像に対して、撮影日時とGPSログとを照合することにより、ジオタグを書き込むことも可能だ。
写真を追加したポイントには、ウェイポイント(通過点)であることを示すマーカーが自動で配置され、クリックするとバルーンがポップアップして、写真とともに撮影日時、座標(経度・緯度)、高度情報などが表示される(出力設定オプションで非表示にすることも可能)。ウェイポイントを編集することにより、地点名を変更したり、リンク先のURLやコメントを追加したりすることも可能。写真の回転やマーカーアイコンの色変更、座標の編集なども行える。さらに、ログの記録開始ポイントや終了ポイントをウェイポイントとして追加したり、トラック上の任意のポイントを選んでウェイポイントに登録したりもできる(写真がなくてもよい)。
出力設定では、マップの表題、表示サイズや初期のズームレベル、マップのタイプ(地図、航空写真、地理院地図など)などを指定することが可能。「写真レポートの表示」をONにしておくと(マーカーのクリックとは別に)出力ページ上にサムネイル一覧が表示される。
出力されたWebページにはマップが表示され、拡大・縮小や移動が可能なほか、トラックの再生機能を使って、移動経路を自動でたどることもできる。トラックの再生・停止や再生速度の変更にも対応する。標準の地図=Googleマップ以外に、航空写真や地理院地図、OpenStreetMapに切り替えることも可能。マップ上に配置されたウェイポイントのマーカーは、マップ横のマーカーリスト(出力設定で非表示も可能)と連携する。マーカーリストのクリックでアイテムを選択すると、写真や座標情報がポップアップ表示される。
マップのほかには、高度変化が表されたプロフィールマップや時間−高度、時間−速度などの表示を切り替えられるチャート、ログの開始・終了時刻、経過時間・移動時間、最高速度・移動平均速度、総上昇・下降量といった解析結果も表示できる。
インポート可能なGPSログは汎用のGPX形式をはじめ、KML/KMZ、TCX、ウェイポイントファイル、NMEAなど。主要な形式に対応する。