「独自のコピーエンジンを搭載することで、システムのデフォルトより3倍の高速処理を実現した」というのがウリなのだが(オフィシャルサイトでは“Based on a unique key technique, it increases the speed of file copy to be 300% higher.”といった記述が見られる)、最初に行った動作確認テストでは、エクスプローラによるコピーと所要時間にさほど違いはなかった。そこであらためて、
- 総容量約1.45GBのファイル(複数のフォルダに分散して保存されているテキストや静止画像など、比較的小さなファイルの集まり)
- 3.2GBのMP4ファイル1本
- 総容量20GBの動画ファイル(約40本)
の3種類のデータを用意し、パソコンの内蔵ハードディスクからUSB接続の外部ハードディスクへコピーするというテストを行ってみた。バッファサイズは初期設定の10MB以外に3MBと32MBの設定を試し、エクスプローラでのコピーと合わせて、それぞれに計4回のテストを実施した(データ3種類×4回)。結果だけまとめると、残念ながらいずれの場合もエクスプローラでのコピーよりも時間がかかってしまい、謳い文句のような300%もの高速化は見られなかった。また、「1. 総容量約1.45GBのファイル」ではバッファサイズ3MBのときが最も高速なのに対し、「2. 3.2GBのMP4ファイル1本」では10MB、「3. 総容量20GBの動画ファイル」では32MBのときが最も高速という結果が得られた。
あくまで限られたテストにもとづく想像に過ぎないが、おそらく外付けハードディスクがUSB接続という点が足を引っ張っている可能性は高く、もっと高速ハードディスクやSSDでは異なる結果になることは十分に考えられる。処理するファイルの数やサイズに応じた適切なバッファ容量があるものと思われ、コピーするファイルに応じてバッファサイズを調整するといった使いこなしが求められるかもしれない。
残念ながら今回、筆者の環境では高速性を実感することができなかったが、使い方自体はきわめてシンプルだし、各所に分散したファイルを1ヵ所にコピーするような使い方に適しているので、エクスプローラが苦手とする使い方を補うのによさそうだ。
(福住 護)