手書き文字の認識・修正機能と予測変換機能とをうまく組み合わせた日本語変換・入力システム。文字を入力するごとに(予測)変換候補が表示されるだけでなく、うまく認識してくれなくても、候補から選択すると直ちに別の変換候補が表示されるため、意外に手間がかからない。これなら手書き入力があまり得意でない方でも、比較的簡単に使えそうだ。筆者は、推奨されているタッチパネルディスプレイではなく、マウスとタッチパッドで試用した。短時間の試用ではあるが、それでも使いこなしのポイントになりそうなところがいくつか見つかったので、ご紹介したい。
ひとつめは「あまり丁寧な入力にこだわりすぎない」こと。例えば「がぎぐげご」のような濁点を入力しようとするとき、まず「か」を手書きすると、その時点で認識候補が現れるので、これが邪魔をして、濁点を入力しづらい場合がある。自分がイメージする濁点の位置にこだわってきれいに書こうとしても、認識候補がその場所に表示されていると、濁点を認識してくれない。このようなときはきれいな字形にこだわらず、少し下へずらすなど、適当に書いておいて認識候補の中から選んだり、思い切り離れたところに書いておいて、あとから間隔を調整したりすることで、一文字として認識させた方がよいようだ。
二つめは「入力済みの手書き文字の修正」について。パネル上に表示された「Delete」ボタンは、ストロークごとに消去してゆくので、濁点の点々や半濁点の丸、漢字の一画ずつを消去するといった使い方になる。ボタンを長押しすると、「ALL」「A」ボタンがフライアウト風に現れ、一文字消去や全文字消去が可能となるので、これをうまく使いたい。
また、手書き入力エリアの中はカーソル移動に相当する機能がないので、途中の一文字だけを消去したり、書き換えたりしたいときは、認識文字候補のポップアップメニューを開いて、「消す」ボタンを使用する。パネル上の「←」「→」ボタンは、入力先のアプリケーション側でカーソルを操作するためのものだということを理解しておこう。
三つめは、あまり利用機会がないかもしれないが、「英字の入力」について。手書き入力エリアではスペースの入力ができないので“I have a pen.”のように、スペースを含むセンテンスを入力することができない。「半角」ボタンは先ほどの「←」「→」ボタンと同じく、アプリケーション側の操作になるのでこれも要注意。筆記体は一文字ずつならある程度認識してくれるが、連続するとさすがにお手上げのようだ。
以上のようなコツがつかめてくると、タッチパッドの下手くそな文字でもそれなりにスムーズに入力できるようになった。いい意味で緩い感じなので、適当にササッと書いて、あとは認識候補の選択と予測変換をうまく使ってゆけばよいだろう。
(福住 護)