「アプリケーションで『印刷』を実行してPDFファイルを作成する」というシンプルかつオーソドックスなソフト。ページの結合もできなくはないが(後述するように)詳細設定が必要なので、普通の用途としては「ドキュメントをそのままPDF化する」と考えておけばよい。指定できる項目は非常にシンプル。文書名や作者名などのメタ情報とセキュリティのためのパスワード設定のみなので、何も迷うところがない。PDFのバージョン指定や画像ファイルとしての出力といった比較的おなじみの設定も見当たらないが、これらはiniファイルの書き換えで指定できるようになっている。具体的なやり方としては、設定項目の行頭についている'(アポストロフィ)を削除してコメントアウトを解除し、パラメータの数字を書き換えればよい。
iniファイルの記述(パラメータの説明を含む)が英語なので──PDF作成ソフトに関する予備知識があれば、推測で書き換えることも可能だろうが──はじめて使う人にとってはちょっとハードルが高い。詳細設定はいじらずに、素直に設定ダイアログ上での指定のみにとどめておいた方がよいのかもしれない(プログラム自体は日本語化されている)。
iniファイルの設定項目の中にユーザインタフェースに関するものがあり、初期設定の“smaller”以外に“Normal”などを指定することが可能。ここを変更することで、iniファイルを直接書き換えなくても、ダイアログ上での設定が可能になるのではと思って試してみたのだが、なぜか変化がなく、この設定の効果を確認することができなかった。そのほかには、PDFのバージョン指定やメタ情報のデフォルト指定も試してみたが、これらは動作しているようだ。
冒頭で紹介したPDFファイルの結合は、同名のファイルが存在した場合の処理に関するオプションで“Overwrite=3”を指定しておくと、既存ファイルの末尾に新たなページとして追加できる。「不要なページの削除やページ順の入れ替えなどは不要だが、ページの結合ぐらいはやりたい」という方は覚えておくとよいだろう。
(重冨 玄彦)