WindowsをはじめとしたゲストOSを、再起動せずにMac上で使える仮想化ソフト「Parallels Desktop for Mac」の新バージョン。Windows 10に対応したほか、OS Xの次期バージョン「El Capitan(10.11)」にも対応する予定。「Parallels Desktop for Mac」は、Mac上に構築した仮想マシンにゲストOSをインストールすることで、WindowsやOS Xを含む複数のOSをシームレスに利用することが可能な仮想化ソフト。新バージョン「11」では、Windows 10に対応したほか、全体のパフォーマンスが向上。例えば、Windows 10/8.1での起動・シャットダウン時間は最大50%高速になったという。ユーザインタフェースも改善され、使いやすさも向上。さらにWindows 10に搭載されたパーソナルアシスタント機能「Cortana」にも対応した。トラベルモードが追加され、バッテリー駆動時間も長くなった。対応するOSはWindows(3.11以降)、OS X(10.5以降)、Android OS、Chrome OS、Ubuntuなど。
ゲストOSを動かす仮想マシンは「Parallels Desktop コントロールセンター」で管理される。スリープ(休止)、レジューム(再起動)、シャットダウンといった動作状態を変更できるほか、各仮想マシンのCPUやメモリ構成、利用するデバイスの詳細設定なども行える。
各ゲストOSのインストールは、コントロールセンターで新しく追加した仮想マシン上に組み込むことで行う。対話型の設定画面により、はじめてでも簡単にインストールすることが可能。仮想マシンの構成(主な用途:業務用ツールまたはゲームのみ)を選んだ上で、インストール用のメディア(USB/DVD)またはISOイメージを指定するだけで、インストールが開始される(Android OS、Chrome OS、Ubuntuなどの無料システムはメニューから選ぶ)。アクティベートやアカウント登録などが必要な場合もウィザード内で行える。
インストール時には、ビデオ、オーディオ、入力装置、ネットワークなどのデバイスドライバがまとめて組み込まれる。ユーザは特に意識することなく、Macのディスプレイやキーボード、マウス、ルータなどをそのまま利用することが可能だ。
Mac上での仮想マシンの動作(表示)モードには、
- Coherence(コヒーレンス):OS XとゲストOSのデスクトップを最高レベルで統合。ゲストOSのアプリケーションやエクスプローラのウィンドウが直接、Macのデスクトップに表示される
- Modality(モダリティ):ゲストOSのデスクトップをOS Xの1ウィンドウ内に表示。ひとつのアプリケーションのように動作する
- フルスクリーン:ゲストOSのみがフルスクリーンで表示される
の3種類があり、メニューバーやステータスメニュー(メニューバー右端)から簡単に切り替えられる。Windowsをインストールすると、ドックには「Windowsアプリケーション」フォルダが追加され、各アプリケーションには直接、アクセスできる。インストールしたアプリケーションは、Launchpadから選択したり、Spotlightによる検索の対象になったりなど、OS Xのアプリケーションとまったく同様に扱える。OS Xのデスクトップ拡張機能「ミッションコントロール」にも対応。「OS X環境とWindows環境を別々のデスクトップに作り、使い分ける」といったことも可能だ。
Windows(3.11以降)のほか、Linux、Chrome OS、Android OS、さらには10.5以降のOS Xにも対応。複数バージョンのOS Xを併用することもできる。インストールウィザードでは、ストレージに格納されたOS Xの復元パーティションが自動的に検出され、ゲストOSのメニューに表示してくれるため、簡単に利用できる。
Windows 10に搭載された音声認識アシスタント「Cortana」も利用できる。そのほか、
- Windowsのドキュメントをクイックルックで閲覧できる
- WindowsのアプリケーションからOS Xが獲得した位置情報をリアルタイムに参照できる
など、Windowsとの親和性は一層強化された。