保健室登校をする少年・少女を主人公にした短編ノベルゲーム。気軽に読むことができる、心温まる作品。保健室登校をする小学5、6年生の視点で語られるオムニバスストーリー
「ココロ、そらいろ。」は、保健室登校をする三人の子どもと養護教諭との物語をオムニバス形式で描いたハートウォーミングなノベルゲーム。12話からなる短めのストーリーを読み重ねてゆくことで、子どもの成長物語を楽しめるようになっている。
物語は、一人の不登校児童のモノローグからはじまる。小学6年生の彼は「なんとなく」学校に行くのが嫌になり、ここ半年ほど不登校を続けていた。しかし、新しい担任教師の熱心な説得により、「保健室登校」という形ではあるものの再び登校することを決意する。
彼がはじめて保健室登校をした日、保健室に先生は見当たらず、一人の少女が絵を描いていた。実はこの学校で保健室登校をしているのは彼だけではなく、何人もの常連がいた。週に1日ほんの少し顔を出したり、午前中だけだったり、午後だけだったりで登校している児童がほとんどだったが、彼女はその中で唯一、毎日登校していた。
少女は人見知りで、ほとんどの時間を一人で絵を描いて過ごしていたが、彼は持ち前の明るさとフレンドリーな性格で、次第に彼女と打ち解けてゆく。やがてもう一人、無愛想だが頭のよい少年が保健室登校の仲間に加わり、彼ら三人の視点を通してオムニバスストーリーが語られてゆく。
メインの語り部は小学6年生の「いつき」
「君島樹(きみじま・いつき)」は、メインの語り手となる少年で、三人の中でただ一人の6年生。物語ではいつきが小学校を卒業するまでが描かれる。本人にも理由がわからず「なんとなく」学校に行きたくないと思っていたが、なぜか保健室には居心地のよさを感じている。特に明確な問題を抱えているわけでもなく、不登校という以外はごくごく普通の少年。人なつこい性格をしていることもあり、徐々に三人の中の中心人物となってゆく。
「前川ゆず(まえかわ・ゆず)」は5年生の女の子。友だちから仲間外れにされ、保健室登校をするようになった。絵が大好きで上手、しかも独特の感性を持ち、見ていて明るい気分になるような絵を描く。ただし独特の感性と正直さゆえ、他人に合わせるのが苦手。仲間外れにされる原因となった。人見知りだが、実は友だちとなかよくなることを切望している。
「藤堂元成(とうどう・もとなり)」は、6月になって新しく保健室登校するようになった5年生の男の子。論理的で頭がよく、全国統一テストでも優秀な成績を収める。論理的過ぎるため、小学校の授業が無駄だらけに思えてしまう。笑うことなく、無愛想に見えることもあり、クラスになじめずに不登校になった。一見冷たく見えるが、面倒見がよいところもある。
「青木円(あおき・まどか)」は、いつも優しく、温かい目で児童を見守る養護教諭。児童からも教師からも人望がある。基本的には放任主義で、児童自身が問題を解決できるようにする。5年前まで恋愛経験はなかったが、現在では3歳年上の彼氏がいる。