「一般的に手に入る音楽ソースとしてはCD音質が最高」といわれた時期は極めて長かった。CDの登場が1982年頃だから、かれこれ30年以上にもなる。ところが、去年あたりから目につくようになってきた「ハイレゾ音源」が、今年はどうも大ヒットのようだ。ウォークマンなどの音楽プレイヤーでもハイレゾ音源に対応した製品の売れ行きが好調で、オーディオ業界は「ハイレゾバブル」といわれるほどだという。つい先日も「GDPの向上に寄与」といったニュースが流れていた。「JRiver Media Center」は、そのハイレゾ音源をとことん楽しみ尽くすことのできるマルチメディアプレイヤーだ。世間一般の動向と同様、パソコンの世界でも一般的にはCD-DAと同程度(48kHz/16bit)の音質が最高とされていた。それ以上のハイレゾ音源もないわけではないが、どちらかといえば一部の人の趣味、または業務用レベルだった。
これに対して「JRiver Media Center」は、メディアプレイヤーというごく一般的なジャンルのソフトであるがゆえに、ハイレゾ音楽の世界をずっと身近に引き寄せてくれる。特に注目したいのが、このソフトが持つ高音質のフォーマット変換機能だ。
ハイレゾのデータをパソコンで扱えるようになったとはいえ、再生できる環境がなければデータの持ち腐れだ。しかし、これまでのハイレゾ再生機器はパソコンに接続するようなものでもまだまだ高価だった。ところが、前出のウォークマンのように、USBでデータをコピーしてやるだけでハイレゾ音源を再生できる機器が、いままさに増えつつある。これらの機器で再生するためのデータを作成するのにも「JRiver Media Center」は役に立つ。
最近発売された低価格タイプのウォークマンは、ハイレゾ音源に対応するようになったとはいえ、まだDSD方式データには対応してない。とはいえ、リニアPCMのハイレゾ音源には対応しているし、昨今のハイレゾ流行を考えると、DSDに対応するのも、もはや時間の問題といえそうだ。そうなったとき、高音質かつ手軽にハイレゾデータを加工でき、CDからもアップコンバートでハイレゾデータの作成が可能な「JRiver Media Center」は、さらに有用なものになるだろう。
(天野 司)