“オーディオ技術者も認める”高音質かつ高機能なメディアプレイヤー。ASIOやWASAPIにも標準対応する。「JRiver Media Center」は、さまざまな形式の動画・音楽ファイルを再生・管理・変換できるマルチメディアプレイヤー。ローカルファイルの再生はもちろん、ネットワーク経由でのストリーミング再生やメディア再生、リッピング/ライティングなども行える多機能マルチメディアプレイヤーだが、最大の魅力はハイレゾ音源にも対応するオーディオ再生機能。出力までの処理を最小限にとどめ、可能な限り原音をそのまま再生して、高音質を実現する。
オーディオ再生では、MP3/WMA/AACといった一般的なロッシー(非可逆圧縮)のオーディオファイルから、WAV/FLAC/APE/ALACなどのロスレス音源にまで対応。現存するほとんどの音声形式を再生できる。CD音質(44.1/48kHz、16bit、2ch)を超えるオーディオパラメータにも対応し、例えばサンプリング周波数が96kHzだったり、量子化ビット数が24bitだったりという「ハイレゾ音源」を再生することが可能だ。
さらにリニアPCM音源ではなく、DSD音源にも対応する。「1ビット音源」ともいわれるDSD音源は、波形データをパルスの高さではなく密度で表現するもので、PCMに比べるとより自然で高音質の再生が可能。SACD(Super Audio CD)などでも採用される変調方式だ(最近のハイレゾオーディオ機器の多くがDSD方式に対応している)。「JRiver Media Center」では、DSD方式の音楽ファイルとしてDSS/DSFなどの形式に対応し、サンプリング周波数はCDの64倍にあたる2.8224MHz(DSD64)から5.644MHz(DSD128)、11.2896MHz(DSD256)、22.5792MHz(DSD512)にまで対応する。
これらのハイレゾ音源はWindows標準のサウンドミキサーでは再生できないため、標準のサウンドミキサーを経由せずに再生できる専用APIが必要。「JRiver Media Center」では、ハイレゾ再生APIの標準ともいえるASIO、WASAPIに対応し、外付けDACなどのオーディオ機器でのハイレゾ再生やマルチチャンネル再生を可能にする。DSDストリームをUSB経由で再生できるDoP(DSD Audio over PCM Frames)にも対応し、DSD/DoP対応のDACを使えば、「JRiver Media Center」から直接、USB接続のDACでDSDをネイティブ再生することが可能だ(DoP再生はDSD128まで)。
DSPを使ったエフェクト機能もある。リニアPCMとは異なり、DSD方式の場合はボリューム調整も困難な場合があるが、「JRiver Media Center」では、再生ゲイン、パラメトリックイコライザ、ルーム補正、ヘッドホン補正といった各種エフェクトを搭載し、必要に応じて再生音質を調整できる。DSPとしてVSTプラグインを利用することも可能だ。
ダウンサンプリング、アップサンプリングも可能。例えば、CDからリッピングした44.1kHz/16ビットの音楽データを96kHz/24bitにアップサンプリングしたり、PCMではなくDSD音源に変換したり、あるいは逆方向の変換を行ったりといった操作を行える。さらに「JRiver Media Center」では、内部のすべての処理パスに64bit処理が採用され、DSP処理の際にも音質の劣化がほとんど生じない。
設定項目は数多いが、再生APIや高音質化部分の設定以外の使い勝手は、一般的なメディアプレイヤーとそれほど変わるところはない。アルバムアートの表示やプレイリストによる再生順の設定、CDからのリッピング、iTunesとの間での曲の転送といった機能もある。ハイレゾ再生機器を持っていない人にも十分に使いでのあるメディアプレイヤーだ。