「画面をスワイプするような感覚でスクリーンを切り替えられる」という点では、タブレット/スマートフォン風のユーザインタフェースなのだが、そこに従来型のパソコン的なタスク切り替えを組み合わせることで、より便利なものになっている。具体的にいうと、タスクを切り替えることにより、あるウィンドウがアクティブになると、そのエリアまで一気に表示位置が移動するので、何画面分もスクロールする必要がない。Windowsのタスクバーは、仮想デスクトップのどのエリアを表示しているかに関係なく常に同じ位置に表示されるので、仮想エリアが横に長く広がっていても、アクティブウィンドウのエリアへ瞬時に切り替えられる。もちろん【Alt】+【Tab】キーによるホットキー操作や【Windows】+【Tab】キーによるフリップ切り替えでも有効だ。
特にユニークなのは「仮想デスクトップのサイズを『何画面分』といった固定的な形ではなく、任意のサイズで指定できる」こと。このため作業中にもうちょっと広いエリアがほしくなったときでも簡単に拡大できるし、操作が簡単なのでアプリケーションでの作業を中断する必要もない。これに関しては特に、本文中最後の方で紹介した「全ウィンドウが入るサイズに仮想デスクトップを拡大する」機能について補足しておきたい。この機能は字面の説明だけでは使い方がイメージしにくく、「仮想デスクトップを先に作っておかないとウィンドウを配置することができないのでは?」という疑問が湧いた人もいることだろう。
この機能が有効なのは、邪魔になったウィンドウや作業用のフローティングパレットを画面外に追い出しているような場合だ。画面の外(横)へ追い出したウィンドウを再び操作する場合、通常であれば、わずかに画面上に見えている部分を操作して再び画面内に収まるように移動させなければならない。ところがこの拡大機能を使うと、逆に追い出していた分に必要なサイズだけ仮想デスクトップを拡大してくれるので、そのときやっている作業に応じて必要だと思ったサイズへデスクトップを簡単に広げることができる。
これだと、常に仮想デスクトップ用メモリを確保する必要がなく、メモリ消費の点でも有利。作業が終わって仮想デスクトップがいらなくなったら、Init(初期化)機能で簡単に本来の物理画面サイズへ戻せる。もちろん、仮想エリアに置いてあったウィンドウは本来の画面へ戻してくれるので、間違って操作できなくなるといった心配は無用だ。
一方、広大なデスクトップサイズを設定するのには少々手間がかかるので、いくつかのサイズをプリセットで登録しておいて選択できると、より便利になるかもしれない。
インストーラがなく、実行ファイル(620KB)を起動するだけなので、USBメモリなどで持ち歩いて使うこともできる代わりに、自動実行用のオプションなどはない。常時使いたい人はスタートアップ項目に登録しておこう。
(福住 護)