主に画像全体の加工を得意とするグラフィックソフトだ。pixel単位での修整やエリア選択によるマスキングを使った修整といった細かい操作ではなく、もう少し手軽に画像の加工を楽しみたい人にお勧めできる。切り抜きやリサイズ、傾き補正、赤目補正といっ機能は「fast」グループにまとめられ、基本的な編集だけなら、ここだけで対応できる。さらに「refine」には写真のクォリティを上げるための色補正やコントラスト補正といった機能があるが、トーンカーブの調整やヒストグラム表示といった機能は省かれているところからも、本格的なレタッチというよりは、使いやすさや楽しさを重視しているのかもしれない。
むしろ「Autodesk Pixlr」の本領は、「effect」「overlay」「border」などにまとめられたツール類にありそうだ。どれもかなり凝ったもので、例えば「border」に用意されているコマンドは、いかにも額縁をつけましたといわんばかりのありきたりなものではなく、縁がよれたりしみがついて「ヤレた」感じを表現したようなリアル感を加えるものや、写真用フィルムのパーフォレーション(送り穴)にコマの番号まで書き加えられたようなものなどもある。
一方、「effect」になると火炎や花火、ネオンサインっぽい光の軌跡などを合成したり、泡や花びら、鳥や蝶の図案などを淡いトーンで合成したりして、全体にサイケデリックな感じを出したりと、こちらもかなり凝ったものが多い。
さらに「stickers」では、イラストやピクトサイン的なシンボルなどが揃い、ペタペタとステッカーを貼っていく感じで楽しむこともできる。
手軽なお絵描き遊び用として使ってもよいし、豊富なツールを活かしてWeb用の素材画像や動画のタイトルバック作成用などに使ってみるのもおもしろそうだ。
(福住 護)