外観が大きく変わり、それにともなって操作方法も多少変更されたことと、バックアップ対象として「コンピュータ全体」という項目が加わり、誰でも手軽にバックアップを行えるようになったことあたりが大きな変更点だが、基本的な部分は従来のバージョンを踏襲している。従来から大きな特徴となっているのが「完全バックアップ」「増分バックアップ」「差分バックアップ」の使い分けだ。「Acronis True Image」ではこの3種類のパターンに加え、「バックアップスキーム」という仕組みを導入することで、効率的な指定を可能にしている。
「スキーム」とは簡単にいうと、バックアップの実行パターンを登録したもの。まず最初に完全バックアップを行い、以降は増分または差分を指定回数繰り返したのち、次に再び完全バックアップを行う、といった指定を簡単に行える。これにより、パソコンの用途に応じたバックアップパターンを簡単に設定できるだけでなく、差分や増分のファイルが増えすぎて、管理が面倒になるのも防げる。
これらの概念は、はじめてバックアップソフトを使う人には難解かもしれないが、スキームによっては設定画面上で簡単なアニメーションを使って仕組みが説明されているものもあるし、完全・増分・差分の違いについてはヘルプに図を使って解説されているので、本格的に使いこなしたいのなら、ぜひ目を通すことをお勧めする。
もちろん、面倒なことはなるべく避けて通りたければ「コンピュータ全体」のバックアップだけでもかまわない。上級者向けの機能だけでなく、より手軽に使えるようになったのも新バージョンの魅力だろう。
ヘルプ内の新機能一覧を見ると、めずらしいことに新バージョンで削除された機能についても触れられている。それによると、Acronics容量拡張マネージャ、SSDのトリミング、バックアップイメージファイルの変換、ファイルシュレッダー、メールのバックアップ、バックアップ設定のインポート/エクスポートといった使用頻度の低い機能が省かれており、コンパクト化を図ったようだ。
ライセンス形態のバリエーションがある点にも注目したい。最もベーシックなPC向けのシングルライセンス版)以外に、PCとMacの両方に対応し、3台までインストール可能なものがあり、さらに「Acronics Cloud」の容量無制限ライセンスが付属する「Unlimited」版にも1台用と3台までの2種類がある。PC用シングルライセンスとPC/Mac対応版ではバージョンアップ版も用意されている。使っているマシンの種類や台数に応じて選びたい。
(福住 護)