セキュリティ対策ソフトの中には、Windowsのシステム起動中には手の出せないマルウェアを駆除するためのブートタイムスキャンモードを備えているものがある。「GrimeFighter」は、その機能だけを専用ツール化したものと考えるとわかりやすい。「Grime」とは、不要なファイルや設定、マルウェア、アプリケーションの脆弱性など、パソコンのパフォーマンスや安全性を低下させるものすべてを指す総称のようだ。Windows上での基本スキャンからクラウド経由での最新情報取得へと進み、パソコンを再起動して最適化を実行という流れの中で、ユーザが操作すべきところはアバスト!のユーザアカウント認証ぐらい。クリーンアップ対象の選択も可能だが、かなり知識のある方以外は、「GrimeFighter」にまかせきりにしておいてよいだろう。
各最適化処理を担当するモジュールは擬人化したキャラクタで表現され、全体を統括するピート警部の指揮の下、総勢11人の「ミニオン」(モジュールのこと)がチームとなってパソコンを最適化する。処理中は各モジュールの大まかな役割を閲覧することもできるが、技術的な難しい内容ではなく、比喩を使った親しみやすいものだ。
筆者のテスト環境では、処理に数十分程度の時間を要したが、その間まったくパソコンを使えないというもの退屈だ。そこで専用のWebブラウザが用意され、ネットサーフィンを楽しめるのも「GrimeFighter」の特徴。さすがにフォントの制限などがあり、レンダリングが美しいとはいえないが、最適化作業の間の退屈しのぎには十分だ。
Windows用の実行ファイルはavast_grimefighter_setup.exeという名称だが、これはいわゆるインストーラではなく、実行ファイルそのもの。スタートメニューに登録されるわけではなく、実行のたびにエクスプローラから開く必要がある。リアルタイムスキャンによる警告やスケジュール実行といった機能を備えていないことも覚えておこう。
最適化前の状態に復元するコマンドが小さくてわかりにくいのも要注意。セットアップツールの初期スキャン後の画面で一番下にリンクがあるので見落とさないようにしたい。
時々徹底して整備を行うためのオーバーホールあるいは人間ドック的なソフトとして、Windows上から実行できる通常のメンテナンスソフトとは別に揃えておくとよい。
(福住 護)