「物理シミュレータ」というと堅苦しいが、実際には小さな子どもでも遊べる知育玩具的な使い方から、本格的な実験まで、幅の広い使い方ができる。もっとくだけたところでは、「ピタゴラスイッチ」に登場する「ピタゴラ装置(ルーブ・ゴールドバーグ・マシン)」のようなものをパソコンの中で自作することも可能だ。物理の実験を実際に行うには、素材の調達や装置の組み立て、実験スペースの確保など、いろいろと検討しなければならないことが多い。実験の精度を高めるには「力をどのように加えたらよいか」といったことも重要だろう。
その点、「Algodoo」ならパソコンの画面上だけですべてをまかなえる。大人が作ったものを子どもが動かしてみるところからはじまり、実際に簡単な装置を作って遊ばせたり、本格的な実験装置を考案させたりなど、発展性もある。
物性を変更することで、いろいろな素材による違いを簡単に試せるのもシミュレータならでは。特に、描いた物体を液状化したり、ガラス化したりすることで、水を使った実験や光の屈折などを手軽に体験できるのは便利だ。
ちなみに光の実験用としてはレーザーポインタというツールがあり、「物体の屈折率や入射角との組み合わせにより、スペクトルがどのように変化するか」といった実験を行うこともできる。
学習用素材としてさまざまな「レッスン」が公開されており、対象年齢やデモンストレーション、例題、研究/実験といったカテゴリーからさまざまなシーンを選択できるようになっている。実験の内容も力学、仕事、摩擦、光学などとさまざまで、なかには図形の認識といった幾何学的なサンプルもある。機械装置や物理の基本に親しむにはうってつけの素材だ。
(福住 護)