「AreaQ(エリアキュー)」は、もともとは枠Quadrat調査の写真から面積を求めるために開発しはじめたプログラムですが、改良を重ね、点の数、長さ、面積を種類ごとに測定することもできます。画像解析プログラムの多くは、面積を測定する場合、pixel(画素)ごとにその色情報から対象物内の点であるかを判別する手法と採っていますが、実際の写真では、色の濃淡、光や陰の部分、似たような色合いの背景があるため、誤認識が多く、思うような結果が得られないことが少なくありません。我々は、多くの経験から形や物体の背景を総合的に判断して画像を的確に認識できるという点でコンピュータよりも優れていると考え、画像の認識は人にまかせて、平面画像に限りますが、以下のような作業を効率よく行えるようにしたソフトウェアです。
- 歪んだ画像からでも画像変換により位置、長さ、面積を正確に測定
- 航空写真から緯度・経度の既知の点を利用し、地球表面上での位置、長さ、面積を測定
- 写真に写っている多数の物体に目印をつけながら、数を数える
- 内部に空きのある領域の面積でも境界をなぞるだけで面積を求められる
- 複数種の対象物を種類ごとに数、長さ、面積を集計する
- 設定情報を保存し、別の画像ファイルに再利用する
「AreaQ」の基本的な操作手順は、(1)画像ファイル(JPEGまたはBMP)の読み込み、(2)画像のイメージ調整(コントラスト調整、色補正、回転)、(3)座標変換式の構築、(4)測定(点の数、長さ、面積)、(5)設定情報の保存、です。操作方法等は付属のヘルプファイルに詳しく記されています。図1に示す例では、格子線5×5cmのある板の上に置いた海藻の写真から、茎状部と葉状部の面積を求めています。座標が既知の点として選択した18点(数字付きの交点)から座標変換式を決定し、10×10cmの格子線(黄緑線)を描いたところです。画像は歪んでいますが、座標変換が適正に行われているため、実際の格子と物理座標の格子が一致しています。
図2では、茎状部をなぞるようにクリックして曲線(点の連なり)を入力しているところです。クリックすると、自動センタリング機能によって拡大画像でも入力を自動的に連続して行えます。
図3は、茎状部の長さと葉状部の面積を計算させたところです。ここでは、葉状部は葉ごとに輪郭をなぞりましたが、計算結果には葉状部の合計の面積も出力されます。面積の計算は、多角形の面積として計算しているため、pixel基準の計算よりも正確です。
図1 座標の既知の点(数字付きの×)から座標変換式を決定し、発生させた物理座標の10×10cm格子線。背景の赤色の格子線は5×5cm |
図2 右の拡大画像(左下の全体画像のうちの赤枠で囲まれた領域が拡大)上で、クリックしながら、海藻の茎状部をなぞっているところ |
図3 茎状部の長さと輪郭のなぞった葉状部の面積を計算したところ |