多彩な機能を備えた、フリーの化学構造式描画ソフト。分子構造を3D表示させることも可能。「ACD/ChemSketch Freeware」は、簡単な操作で分子構造式や3Dの分子構造図などを描画できるソフト。一般的なドローソフトを利用するのに比べ、遥かに容易に構造式を描くことができる。3Dの分子構造図を自由に回転させ、見やすい角度で表示させることも可能。構造式のほか、化学実験に使う器具などのグラフィックイメージを描画することもできる。
構造式を描画するには、メイン画面の左右端に配置されたツールバーでパーツを選択して配置すればよい。例えば、左側のツールバーで炭素「C」を選択し、画面中央の描画エリアをクリックすると、クリックした地点に「C」を含む分子であるメタン(CH4)が配置される。また、酸素「O」を選択して描画エリアをクリックすると、「O」を含む代表的な分子「H2O」が配置される仕組み。選択した元素だけが配置されるのではなく、その元素を含む代表的な分子が配置されるようになっている。
描画エリアにメタン(CH4)と水(H2O)とが配置された状態で、「CH4」から「H2O」に向かってマウスをドラッグすると両者が結合し、メタノール(CH3-OH)となる(余ったH2は自動的に消える)。この状態でさらにH2Oを配置してメタノールと結合させると、H2が取り除かれ、酢酸(CH3-COOH)になる。
画面右側のツールバーでは、ベンゼン環やシクロヘキサンなどの環状基、アルキル基、アミノ基といった代表的な基本化合物を選択できる。使い方は左側ツールバーでの元素の選択と同様。描画エリアに当該化合物を配置し、ほかの分子や原子などと結合すれば、目的の化学構造を作成できる。例えば、ベンゼン環(C6H6)と水(H2O)とを配置して両者をマウスで結べば、フェノール(C6H5OH)が作られるといった具合だ。
原子同士を結ぶ線をクリックすることにより、結合価を変更することも可能。例えば酸素分子(O2)を作りたい場合、Oを選んで水分子を2個配置し、それらを結合するだけでは過酸化水素(H2O2)になってしまうが、ここでO同士を結ぶ線をクリックすれば、O同士が二価結合となり、酸素分子(O2)が作られる。
代表的化合物の構造はテンプレートとして収録され、ワンタッチで呼び出せる。専用のオーガナイザ画面から、目的とする化合物のグループを選択し、必要な化合物を選ぶだけで、特定の化合物を利用できる。テンプレートを再編集することも可能。登録済みの化合物と自前で作った化合物とを“反応”させ、新たな分子を作成することもできる。
さらに、一般的なドローモードによる作図機能も搭載する。円や直線、テキスト、基本図形の配置のほか、表形式のイメージを貼り付けることも可能。テンプレートを利用することもでき、作成した図の中に、化合物の図を簡単に貼り込むこともできる。テンプレートには、化学実験に使われるフラスコやビーカーといった図形も含まれ、実験方法の説明図などの作成も簡単だ。
分子構造図は付属の3Dビューアで3D表示させることが可能。3D表示では、結合構造の表示のほか、球状の原子を結合した形状図や、原子サイズに応じて球の大きさを変更した分子構造図なども描画できる。
3Dビューアでは、マウスドラッグで分子を自由に回転させ、任意の方向から見た形状を表示させることができる。自動回転機能により、分子形状の回転アニメーションを作成することも可能だ。